研究課題
前半では、培養神経細胞の基本的な性質を、後半では培養神経細胞とロボットの接続実験を行った。前半では、培養神経細胞の基本的な性質として、1)ネットワークの成長にともなってある臨界時間で、発火間時間間隔がべき分布すること。2)移送エントロピーを用いて、2つの神経細胞の間の情報の流れを計測できたこと。3)移送エントロピーの値が最大になる時間スケールを同定し、それで2つの神経細胞の間の機能的なつながりを決定でき、4)3)を用いて、機能ネットワークの発達と、喪失といった視覚化に成功した。5)臨界時間は、ネットワークの発達とともにシフト(多点になる)ことがわかった。以上の研究はEMBC国際会議に受理され、発表を行った。後半では、本プロジェクトの主目的である培養神経細胞、HDMEA(高密度電極アレイの略で神経細胞の状態をモニターする),HDMEA とロボット間インターフェース,ロボットからなる,神経回路網とロボットとを相互接続したシステムを開発した。ロボットからのセンサー入力を元に神経細胞に電気刺激を与え,また,計測した神経細胞活動を元にロボットのモーター出力が決まるといったようなフィ-ドバックループシステムとなっている.今回,予備的に行った実験では、ロボットを箱型の容器に配置し,フィードバックループを 10 分間実行し,神経回路網,及び,ロボットの運動活動を記録した。その結果、ロボットの実験により誘起された神経活動のシンクロナイゼーションが、実験終了後1時間以上にわたって持続することが確かめられた。これらの結果は、今年度の人工知能学会ほかで発表予定である。
2: おおむね順調に進展している
主だった目的である培養神経細胞、HDMEA(高密度電極アレイの略で神経細胞の状態をモニターする),HDMEA とロボット間インターフェース,ロボットからなる「closed loop」システムの設計に成功したから。
このロボットプラットホームをもとに、培養神経細胞がどのように外界を記憶していくか、とくに、身体性の役割についてさまざまな実験を考案していく。
夏までにロボットー培養神経細胞の成果がでなかったので、その研究発表を国際会議で発表するために計上していたお金を次年度にまわした。研究成果を、日本人工知能学会(5月12-16日)、および7月30-8月2日の人工生命の国際会議に、投稿してある。ここでの発表のためのregistrationと、渡航費のために必要となる。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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