研究課題/領域番号 |
24300082
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
角 保志 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (30357305)
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研究分担者 |
田中 秀幸 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (70376656)
金 奉根 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (10415672)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自律移動ロボット / 自己位置推定 / 画像処理 / 環境構造化 / 環境モデリング |
研究概要 |
平成25年度は、前年度までに環境構造化技術に基づくランドマーク検出、具体的には、高精度マーカの実現に関して予想以上の大きな成果が得られたので、これを仮想的なランドマークと仮定し、移動ロボットのナビゲーションに必要なランドマーク検出アルゴリズムAPIの初期バージョンを策定し、これを利用した実証実験および性能評価を実施した。これは、環境構造化技術に基づくランドマーク検出と通常のランドマーク検出の共通APIの策定につながるものと期待される。本研究で得られた成果は、学会など(査読有り国際会議1件、査読なし国内会議1件、展示会出展1件、特許出願1件)で高く評価され、下記の賞を受賞した。 ・計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会優秀講演賞(平成25年12月) ・Innovative Technologies 2013(平成25年9月) また、移動ロボットプラットフォームを用いたランドマーク検出に基づく自律移動の実証実験を実施した。前年度までに開発した電動車椅子をベースとした移動ロボットプラットフォームのハードウェアおよび制御機構をブラッシュアップし、移動ロボットの精密位置決めに関する実証実験を実施可能な性能を達成した。加えて、パンチルトズーム機構を備えた単眼カメラシステムによって仮想的なランドマークであるマーカ(本研究で開発している高精度マーカ、従来から使用されている通常マーカ、および白線などの標識を含む)の自動検出と、その結果として達成できるグローバルな高精度自己位置推定結果に基づくナビゲーションのためのソフトウェアを整備した。さらに、屋内外の通常環境下での実証実験に備え、衝突回避のための安全センサ等の安全関連系の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環境構造化技術による移動ロボットの自己位置推定およびについては、予想以上の大きな成果が得られている。一方、屋外ランドマークに基づく位置推定に関する実証実験については遅れているが、現在実施している屋内環境の実証実験で得られた知見は、(外乱光をはじめとするさまざまな環境要因への対処を別にすれば)そのまま屋外に展開可能であると考えられるため、トータルとしてはおおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに、高精度マーカの実現に関して大きな成果が得られ、これを利用した移動ロボットの精密位置決めシステムおよび手法の開発を行ってきた。今後は、これらを利用し、屋内外ランドマーク検出プログラム共通APIを策定し、モノアイを利用したビジョンベースト自律移動自律移動ロボットを使った実証実験をもとに成果をとりまとめる。具体的には、 ・高精度マーカ検出プログラムをベースに、ランドマーク検出プログラムの共通APIを一般化 ・屋内外ランドマーク検出プログラムライブラリの整備 ・ランドマーク検出に基づく移動ロボットシステムによる自立移動の実証実験実施 ・ランドマーク検出プログラムライブラリを用いたナビゲーションシステム自動生成に関する検討 等の実施を計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、実証実験のためのシステム構築・プログラミングを可能な限り実施するため、これに必要な人件費の不足分の前倒し支払い請求を行った。人件費は、派遣技術者の雇用費用としておおむね見積りどおり執行したが、移動ロボットプラットフォームのハードウェア整備費用が予定より少なくて済んだこと、システム制御用計算機の追加購入が不要であったことなどから物品費の執行が見積もりより少なかった。また、成果発表で国内の展示会を優先的にスケジューリングしたため、旅費の執行も見積りより若干少なかった。これらの理由により、次年度使用額が生じたものである。 平成25年度までにほぼハードウェアの整備は終了したので、次年度使用額は平成26年度に請求した研究費とあわせ、実証実験のためのプログラミング・システム構築のための人件費と研究成果発表のための学会参加費・旅費を中心として使用する計画である。
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