研究概要 |
本研究では,同時計測された近赤外分光データ(光信号)をマルチフラクタル解析(日刊工業新聞:H21年3月20日掲載)することにより,これまで高精度に計測困難であった高次感性や意思情報の計測精度を向上させ,光生体情報(具体的には,近赤外分光法で計測される酸化・還元ヘモグロビン濃度の時空間特性)の複雑性(フラクタル次元)と情報(エントロピー)生成能力(リアプノフ スペルクトル)の定量化を実現し,アフェクティブインターフェースへのバイオフィードバック信}}とすることにより,ヒトと制御対象のインタラックティブな制御を具現化する光スマートセンシングを開発する(中川匡弘,脳波のフラクタル解析に基づいた感性計測手法とその応用,CMC出版ファインケミカルVol.40, No.11(2011)pp.45-60;中川匡弘,脳波のフラクタル解析に基づいた感性計測とBCI(第4の価値軸とロボット制御)、マテリアルインテグレーション特集号vol.23 p54~64、2010. ; N. Soe and M. Nakagawa, An Analysis on Lyapunov Spectrum of Hemodynmaic Response in Functional Near Infrared Spectroscopic Measurement during Different Imaginary Motor Tasks., J. Phys. Soc. JPn., Vol.77, No.3, 034803-1-0348803-10(2008)他). 平成24度は,多チャンネルヘモダイダイナミクスのカオス・フラクタル性の高精度な抽出技術の確立,ならびに,多チャンネルデータの収集装置とヒトの感性に係る脳活性部位と発生メカニズム解明のための可搬型(総重量:1kg以下)の近赤外分光感性・意思情報計測システムの開発を主たる目的とした.具体的には,光トポグラフィ(H24年度申請:WOT-220)とアナログ入出力ボード(H24年度申請:QA-101A,JE-210A)による光アフェクティブシステムの開発を目指して,22Chの近赤外分光計測(WOT-220)で感性計測技術を構築する.ただし,多チャンネル(最大22Chで16bitsを想定)高速の専用A/D変換ボードを搭載した制御ボックスのため,専用の入出力プログラムをハードウエア記述言語(HDL)で開発した.さらに,全頭型近赤外分光装置(日立製作所:ETG-100,現有設備)で光学的に補完的計測を実施することにより,高次感性(深い感性)ならびに,意思情報(例えば,車椅子の方向制御)の計測精度補償を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り,脳波と近赤外分光計測用のアタッチメントを作成し,それぞれの生体情報の冗長性や時間遅延に関する知見を得ており,今後は,その相関性の分析を進めることにより,感性・意思情報の計測精度を高めることが可能である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,初年度の成果に基づき,喜怒哀楽といった比較的浅い感性(感情)に加えて,"心地よさ"や"安心感","くつろぎ感","不快感","緊張感","疲労感"あるいは,"ストレス"等の比較的高次の感性計測,並びに,解析を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度で完成した光アフェクティブ計測技術を補完(クロスチェック意味も含む)する筋電等のアーティファクト除去技術を確立するため,可搬性の装置(H25年度申請:AP-1132(約300gと小型・軽量))を併用した計測システムを創製し,また,ポリグラフ(現有設備:PEG-100)とスリープアプニアユニット(H25年度申請:JE-912A)による可搬型アフェクティブインターフェースを構築する予定である.
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