研究課題/領域番号 |
24300084
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
中川 匡弘 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60155687)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感性情報学 / カオス / フラクタル / センシング |
研究概要 |
これまでの研究成果に基づき,喜怒哀楽といった比較的浅い感性(感情)に加えて,“心地よさ”や“安心感”,“くつろぎ感”,“不快感”,“緊張感”,“疲労感”あるいは,“ストレス”等の比較的高次の感性解析をはじめ,睡眠時を含めた長時間に亘り非拘束で計測・弁別・処理するために,初年度で完成した光アフェクティブ計測技術を補完する筋電等のアーティファクト除去技術を確立するため,可搬性の装置を併用した計測システムを創製した.また,ポリグラフとスリープアプニアユニットによる可搬型アフェクティブインターフェースを構築する.さらに,ヘモダイナミクスの学習・予測に適合したカオスリカレントニューラルネットを用いて,複雑に変化するヒトの感性時系列を学習・予測し,一般化シナジェティックニューラルネットの多重連想機能との融合技術により,被介護者の気持ちや感性を汲み取り,さらにその感性を学習・予測し,スマート制御における最適な選択肢を自律的に決定し得る“感性志向型光スマートセンシング”の基盤要素技術を構築する.さらに,カオスリカレントニューラルネットを用いた予測型バイオフィードバック効果の解明を行い,ヒトのココロを豊かにし,グローバル化産業社会に埋没しないモノづくりの基軸となる,感性・安心・健康を付加価値とした製品開発のための光スマートセンシング技術を開発した.さらに、光電融合型スマートセンシング技術を確立するため、多Chの近赤外分光計測と小型脳波計測装置により、マルチフラクタル解析を用いた光電融合型スマートインターフェースのプロトタイプのシステムを構築した。またさらに、多チャンネル近赤外分光装置で光学的に補完的計測を実施することにより、感情、情動、並びに、高次感性(深い感性)や意思情報(例えば、車椅子の方向制御)の計測精度補償を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
従来の時間依存フラクタル次元の定量化においては、計測データの埋め込みによるアトラクタの解析を基本とするため、時間分解能の向上と評価されたフラクタル次元の精度向上は相容れない条件とされてきた。即ち、時間分解能を高くしようとすると、解析データ点数(アトラクタの点数)を十分に多くとれず、結果としてアトラクタのフラクタル次元を求めるために、例えば埋め込みアトラクタを相関次元で評価した場合、フラクタル次元値の信頼性は十分に確保されない。一方,本研究で提案する光電融合型のスマートセンシングの実現に向けて,脳波とヘモダイナミクスのマルチフラクタル解析を導入し,国内外の特許(国内特許:5448199号,海外特許:Patent No. US 8571646B2)も取得完了し,予想以上の成果を上げている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,臨床実験の一環として,ビデオ記録装置を用いて,覚醒時のみならず睡眠中を含む長時間に亘る脳活動に関するカオス・フラクタル解析を進めると共に,学習部分のユニットであるリカレントカオスニューラルネットのハードウエア化を試みる.さらに,カオス性の尺度であるリアプノフスペクトルを特徴量として導入し,小型・軽量化を含めさらに完成度(分離能力,汎化能力,汎用性,信頼性)の高い感性計測装置を目指す.また,このような技術の発展として,安心・健康関係の技術だけではなく,高齢者の介護・生活支援も含め,利用者のQoLを向上し,感性を豊かにする,ココロ通じる感性志向型光スマートセンシング技術の開発を目指す.具体的には,スマートセンシング技術を基軸としたアフェクティブインターフェースを活用して感性志向型光スマートセンシングのための基盤技術を創製する.
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