本研究の最終的な目的は,進化型多目的最適化アルゴリズムに局所探索を組み込んだ進化型多目的局所探索アルゴリズムの自動設計である.アルゴリズムの完全な自動設計は今後の課題となるが,今年度は,2目的ナップサック問題に対して,アルゴリズム構造の最適化も含めた進化型多目的局所探索アルゴリズムの設計方法の提案を国際会議IEEE CEC 2015で行った.本研究で提案した設計方法の特徴は,以下のようにまとめることができる. (1)局所探索を適用する確率,局所探索を継続する時間,局所探索適用個体を選択する場合での選択圧などのパラメータだけでなく,世代更新,交叉,突然変異,局所探索をどのような順序で行うかというアルゴリズム構造を自動的に決定することができる. (2)進化の異なる段階で異なるアルゴリズム構造と異なるパラメータを使うことができるように,アルゴリズムの自動設計を世代毎に行うことができる. また,世代毎に異なる構造の探索メカニズムを用いるアルゴリズムの有効性を検討するために,幅広く用いられている単一目的関数最適化問題に対して自動設計されたアルゴリズムの一般性すなわち汎化能力の検討を含めた論文をオープンアクセス論文誌であるSpringerPlus誌で発表した.この論文では,ある特定のテスト問題に対して設計されたアルゴリズムは,類似した性質のテスト問題に対して高い性能を持つという予想された結果だけではなく,探索の序盤で幅広くランダムに探索を行うことは,単純な単峰性関数から複雑な多峰性関数まで多様なテスト問題に対して有効であるという結果が得られた.
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