研究概要 |
神経回路網メモリ効果という現象を詳細に解析し,メモリ効果に影響するパラメータを検討した(論文2,図書1).具体的には,メモリ効果の基本特性の解析として神経回路網における入力応答のメモリ効果についてその持続時間(刺激間隔に対する依存性),培養日数依存性,ネットワーク・サイズ(培養面積)依存性を解析した.この結果,メモリ効果は神経回路網が十分に複雑化し,シナプス入力の伝達効率が大きくなる培養開始後60日程度以上に於いて2.5秒まで持続し,5秒以上は持続しないことが明らかとなった.また,培養開始後30日以内のネットワークではメモリ効果は明確では無かった.培養神経回路網においては観察される入力に依存しない自発活動とシナプス伝達効率を制御して実験を行った.細胞外液のMgCl_2を0mMとしてシナプス伝達効率を一時的に増大させた場合は,培養期間が30日以下でもメモリ効果が観察されることを発見した.更に,記録外液中のグルコース濃度を操作することで自発活動が活発化することを確認した.また,神経活動の時空間パターンを表現する手法として,活動電位が発生しうる最小時間窓内の神経発火数から生成した一連の特徴ベクトルに対してクラスタリングを適用し,神経活動のパターンレパートリーを追跡する手法を確立した.これらの成果に加え,神経回路網をより詳細に制御する手法としてニワトリ-ラット共培養ネットワークを確立した(論文1).また,神経活動パターンの解析にあたって,関係する各パラメータを詳細に解析することに資するレーザーによる細胞操作技術と,細胞接着性物質を用いた細胞パターニング技術の開発もあわせて行った(論文3-5).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画における項目については,ほぼ順調に遂行され,論文や国内外の学会にて発表済みである.更に,神経活動パターンの解析技術確立に資する周辺技術もあわせて確立しつつ有り,総合的にみて順調に進展していると判断できる.
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