研究実績の概要 |
昨年度までの研究成果を受け、メカニズムに対して容易に実施可能で有効な戦略的行動を無効化するよう改良を加え続けることにより、取引参加者のモデルに制約を加えない現実的な取引状況においても商品価値の時間的変化に対応した取引参加者全体の収益を最大化するメカニズムを実現した。 また、価値が時間的に変化する商品には、生鮮品以外にもサービスや、技術進歩の著しい最先端電子部品など多数存在する。このような幅広い商品の取引市場における適用に向けて、まずは生鮮品取引市場の中でも、関係者の協力が得られる水産物取引において、実際の取引環境におけるメカニズムの適用実験を行った。具体的には、宮城県の養殖カキを対象にして生産者と首都圏の飲食事業者が直接取引を行う電子商取引システムを開発し、実際にシステムを利用した売買を行う実証実験を実施した。実証実験では宮城県の唐桑、鳴瀬の2地域の生産者と都内の仲卸2社(倉田商店、魚がし鎌形)との間で産地からのカキのサンプル出荷や、決済フロー策定、配送手段の検討などの準備を行い、12月半ばから取引を開始した。2014年12月11日から2015年1月31日までの取引実績は、ノロウィルスの発生などもあり、総取引量35kg(剥き身)、3060個(殻付き)、総販売金額は433,388円に止まったが、販売単価に関しては、剥き身は3,295円/kgと同時期、同産地の平均共販価格1,792円/kgと比較して高値での販売が可能である事が確認できた。
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