ヒトの記憶のメカニズムについては、海馬を含む内側側頭葉や、前脳基底部、視床といった領域が、日常生活の記憶であり時間的文脈(いつ経験したか)と空間的文脈(どこで経験したか)を伴うエピソード記憶に重要な役割を果たしていることが知られている。 本研究では、特に前脳基底部損傷患者群(前交通動脈瘤手術後の患者群)を対象に、記憶課題と MRI構造画像を用いた病巣との関連性の解析を行った。また、長期的な社会的転帰に関しても、患者の復職状況により評価した。詳細なMRI構造画像の検討の結果、6名全例において両側の脳弓柱病変が認められた。一方、社会的転帰不良であった2名のみが線条体病変を有していた。
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