研究課題
ヒトを対象とした研究では、乳児―養育者の相互作用場面に着目し、脳神経、生理、心理、そして行動変化をとらえる実験を行ってきた。母親側の脳神経変化を指標とした研究としては、乳児を養育中の母親と養育経験のない女性の脳活動を比較したものがある。母親は「対乳児発話」による触覚語(つるつる等)に対し、より明瞭な脳活動を示した。さらに、日常の養育場面において触覚語をよく使うと回答した母親ほど脳活動が明瞭であったことから、養育経験が成人の脳活動に影響することが示された(Tanaka et al., 2014)。また、「抱き」に着目した心理、行動指標を用いた研究からは、乳児からの快、不快な情動表出が母親の抱きを変化させること、さらに、母親のストレス状態と抱きの変化には関係があることが示された。この成果は現在、国際誌に投稿中である(Nishimura et al., submitted)。さらに、乳児の不快情動がもたらす母親の生理状態(ストレス反応)に対し、乳児の快情動がそれを軽減する機能をもつか否かを調べた研究も実施した。その結果、乳児の快情動は、母親の皮膚コンダクタンス反応(発汗)を抑制することが明らかとなり、ストレスを軽減させる機能をもつことを示した。この成果は、まもなく国際誌に受理される(Mizugaki et al., under revision)。チンパンジーを対象とした研究では、他個体の表情刺激を提示し、その前後の行動、脳生理反応を計測した。チンパンジーになじみのない/なじみある個体の表情を提示した場合、両者への脳活動反応に差異がみられることを実証した(Fukushima et al., 2014)。また、唾液サンプルによる内分泌変動(コルチゾール、オキシトシン等)についてはデータ収集を終えたが、妥当な計測系を確立することに時間を要し、現在解析を進めているところである。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (35件) (うち招待講演 24件) 図書 (2件) 備考 (2件)
Developmental Science
巻: in press ページ: in press
PeerJ
巻: 1 ページ: e223
1:e223
Scientific Reports
巻: 4 ページ: 6623
10.1038/srep06623
Biology Letters
巻: 10 ページ: 8
10.1098/rsbl.2014.0350
BRAIN and NERVE
巻: 66 ページ: 673-680
第58回システム制御情報学会研究論文誌
巻: 58 ページ: 45-49
http://www.educ.kyoto-u.ac.jp/myowa/
http://www.educ.kyoto-u.ac.jp/myowa/en/index.html