研究課題/領域番号 |
24300108
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
石黒 真木夫 統計数理研究所, 名誉教授 (10000217)
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研究分担者 |
三分一 史和 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (30360647)
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
岡田 泰昌 独立行政法人国立大学病院機構村山医療センター(臨床研究センター), 内科, 医長 (80160688)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 時系列解析 / 階層神経モデリング |
研究概要 |
本年度、モデリンググループにおいてはカルシウムイメージングデータの基本的特性の調査とデータの事前処理の検討を行った。 イメージングデータの計測においては左上のピクセルから順にメモリーに取り込むため、同一のtime frameであっても最大でサンプリング周期分だけの時間差が生じることや、レーザー走査法にも複数の方法があり、データの取り込みにおいてもS/N比の向上のため数種類の方法で信号の積算や平均加算を行うことが計測システムの分析で判明した。ピクセル間に時間差を残したままでは、相互相関や因果性の解析は行えないので時間差を補正する線形補間アルゴリズムやカルマンフィルターによる平滑補完法を開発した。そして、シミュレーションによりサンプリング間隔と補完性能の関係を調べ、時間差補正の必要性を示した。 また、イメージングデータからニューロンとアストロサイトに相当する部位を検出する必要があるので、信号の分散値の空間マップからニューロンとアストロサイトに相当するピーク検出を行うアルゴリズムを開発した。 微分法による検出法、ガウス関数のフィッティングによる方法を検討し、計算コストと検出性能について調べ、実データへの適用を行った。 実験計測グループではラット脳幹の呼吸活動を計測するために、なるべく少ない積算や平均加算で計測ができるよう適切なサンプルの作成方法、計測装置のパラメーターの組み合わせの検討を行い、安定してデータ計測をおこなえる環境の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計測システムのパラメーターや特性について仕様書に記載されていない情報が必要となりメーカーのドイツ本社への問い合わせなどに多くの時間を費やす必要があり、実験計測のスケジュールに遅れが生じたため。 データ解析においてはデータの事前処理に時間差補正など当初の計画外のプロセスが必要なことが判明したため。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムイメージングによって計測されるニューロンやアストロサイトの活動の物理的特性を明らかに,各々の活動と相互作用を考慮に入れ,より現実に近いニューロンネットワークモデルを構築する。そして,ニューロンとアストロサイトの集団的活動と大域的な活動の対応をつける。 実験グループにおいては,自発的周期性活動と外部から様々な点に対して網羅的に与えた電気刺激に対する応答を計測する。カルシウムイメージングでは,ニューロンを取り巻くアストロサイトの活動も計測し,ニューロン-アストロサイト間の相互作用の情報を検出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ解析用ワークステーション、実験動物の購、カルシウム指示薬等の購入、データ解析ソフトの更新のライセンス料、学術論文の出版費用、学会参加や研究打ち合わせのための旅費の支出を予定している。
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