研究課題/領域番号 |
24300110
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
松浦 正明 公益財団法人がん研究会, がん研究所・がんゲノム研究部, 部長 (40173794)
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研究分担者 |
江口 真透 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (10168776)
瀬藤 光利 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20302664)
涌井 昌俊 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90240465)
矢尾 育子 関西医科大学, 医学部, 講師 (60399681)
宮田 敏 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60360343)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 統計 / 質量分析 / 画像処理 / 顕微質量装置 |
研究概要 |
本研究では、イメージングマススペクトロメトリーから得られる膨大なデータに対する統計解析手法の開発を行うことを目的とする。特に本年度は、研究実施計画に沿って、イメージングマススベクトロメトリーからの網羅的画像データに対する画像類似性評価のための高速計算可能な統計的方法論の開発を行った。イメージングマススペクトロメトリーからは、同一質量を有す低分子の発現強度が2次元平面サンプル上でどのように分布しているかを示す画像イメージ情報が得られる。このような低分子は300-3000程度出力され、どの分子同士が2次元上で同じ発現パターンを示しているか画像の類似性を評価する事が重要となる。このような類似性の評価では、1000個画像から2個の画像を取り出す全ての組み合わせを評価する必要があるため、計算の高速化が実問題として生じる。今年度は、既存の相関係数に基づく画像の類似性指標を用いると、視覚的に判断すると相関が高いと認識される画像データに対して、視覚的認知と異なる結果を生じることの凡例を示した。次に、この問題点を打開し、高速で計算処理が行えるための方法として、カルバック.ライブラー・ダイバージェンス尺度(KL情報量)を簡易化して利用することを考案した。計算の簡易化のために、2次元密度関数の推定値の算出において2次元平面上をブロック化して、発現強度を連続値と離散のそれぞれに対して簡易計算する方法を考案した。これらの方法を、浜松医大の取得した網膜データの3000画像データに適用し、実データを用いた計算時間を実測して指標の有効性を確認した。さらに、島津製作所が取得した疑似生体データに対して同位体に対する各種類似性指標の比較を行い、提案手法の良好性を示した。これらの内容に関しては、国際計量生物学会(IBC2012、神戸)で報告を行い、関連領域の国内および海外研究者より良い評価を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請書に記載した内容に関しては、早い時期に目標を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果の達成度は良好であり、交付申請書に記載した研究計画案に沿った研究を予定どおり推進させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰り越し金については、コンピュータ用の記憶媒体を購入予定である。
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