研究課題
本研究の目的は,脳で実現される適応運動制御機構を理解し,ロボットや医療機器等に用いられる実機モータ制御に応用することにあった.本研究では,以下の具体的研究項目について研究を実施した:1) 前庭動眼反射(VOR),眼球運動積分器(ONI)運動学習時の小脳,脳幹神経活動評価2) 小脳―脳幹ループを陽に記述したVOR,ONI運動学習モデルの構築3) 小脳―脳幹型コントローラの構築4) 小脳・脳幹BMIによるロボット制御最終年度の今年度は,昨年度に引続き,3)で構築した小脳・脳幹型実機適応コントローラを実機制御に応用し,その性能を評価した.応用例として,不安定系で比較的制御の難しい二輪倒立型ロボットの姿勢制御を取り上げた.その結果,正弦波状の目標軌道に対する追従制御途中に,ロボットに重りを付加したり,動作平面を突然傾けたりする実験においても,良好な適応能力を有することが実証された.また,クアドコプタの制御も試み,シミュレーションにより十分な飛行制御能力があることを確認した.一方,計画では制振自助具制御にも取り組む予定であったが,米国Lift Labs社が同様のスプーンを開発したことが報じられたため,今年度の開発は見合わせた.上記研究項目4)については,これまでに実証されているVORの周波数別運動学習機構を利用した実機制御を試みた.VOR運動学習では,異なる2周波数で構成される頭部回転に対する眼球運動のゲインを,一方の周波数では増加させ,同時に他方では減少させることができる.こうした柔軟な適応制御が小脳内に存在する1つのPurkinje細胞により実現されるという仮説に基づき,BMI実験の環境を整備し,金魚を用いた実験を実施した.これまでの結果では,細胞により実機制御の適応能力が異なることが見出されている.今後,さらに多くの細胞でデータを蓄積し,小脳・脳幹BMI技術の確立を目指す.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (35件) (うち国際学会 9件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Frontiers in Neural Circuits
巻: vol.9 ページ: pp.1-13
http://bit.ly/hirata_neural_cybernetics_lab
http://nclab.solan.chubu.ac.jp/nclab/