研究課題/領域番号 |
24300116
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
斎藤 哲一郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00202078)
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研究分担者 |
室山 優子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (20422248)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 細胞・組織 / 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 / 脊髄 / 神経細胞 / 電気穿孔法 |
研究概要 |
研究代表者等が開発した独自の実験系を発展させ、神経細胞の誕生から軸索の伸長とシナプス形成に至る神経回路構築のステップ間のスケジュールを調節する機構を解明すべく、研究代表者等が発見した脊髄の交連神経回路と小脳の神経回路を制御する遺伝子ネットワークを中心に研究を実施した。これまでの研究により、脊髄の交連神経細胞の神経ネットワーク形成においてはネトリンレセプターのDccやセマフォリンレセプターのNrp2などガイダンス分子のレセプターの発現が翻訳と転写のレベルで精巧に制御され、その上流ではbHLH型転写制御因子のMath1からホメオドメイン型転写制御因子のMbh1(mammalian Barh1)とMbh2(mammalian Barh2)を経てLhx2とLhx9へ至る制御が重要であることを示してきたが、今年度の研究により、Lhx2とLhx9の転写を制御する様式が脊髄と小脳では異なることが明らかとなった。脊髄の交連神経細胞と小脳の顆粒細胞が分化する過程の両方で、Lhx2とLhx9の発現にはMath1からMbh1とMbh2に至るカスケードが必須であるが、脊髄ではMbh1やMbh2によりLhx2の発現がLhx9よりも強力に誘導されるのに対し、小脳ではLhx9の方がLhx2よりも強く誘導されることが明らかとなり、同じ転写制御因子の下流遺伝子であっても、神経細胞の種類により発現誘導の仕組みが異なることが示された。さらに、電気穿孔法と組み合わせ前年度に開発したヘテロクロニック遺伝子発現誘導系を用いて、神経回路形成に関わる遺伝子を特定の時間帯のみで限定的に発現させることにより、神経回路に異常を有するモデルマウスを作製することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独自のヘテロクロニック遺伝子発現誘導系を用いて、計画通り、神経回路に異常を有する新しいタイプのモデルマウスを作製することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は順調に進み着実に成果も上がっており、計画通りの推進でよい。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費で計上していた研究補佐員が異動し人件費の支出が減るとともに、研究推進集中重点化のため海外学会発表を延期したため。 本研究の最終年度であり、研究の総括として多くの研究データの総合的解析に用いる。
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