研究課題/領域番号 |
24300117
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥野 浩行 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定准教授 (80272417)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 / シナプス / 遺伝子 / 長期記憶 / 海馬 |
研究概要 |
シナプスで起った可塑的変化を長い期間にわたり保持・持続するためには、活動依存的な新規遺伝子発現が必須である。しかし誘導された遺伝子産物がいかにして、当初入力を受けたシナプスにおける活動の制御を担うのか、そのメカニズムは未解明のままである。本研究提案では、この、核からシナプスへのシグナリングによるシナプス調節機構の分子基盤を解き明かすため、神経特異的前初期遺伝子Arcに焦点を当て、ArcタンパクのシナプスへのターゲティングならびにArcによるシナプス制御機構を明らかにする。 平成25年度においては以下の成果を得た。 成果1.Arcの活動依存的転写調節エンハンサーであるSAREを介した遺伝子発現の解析をすすめ、これをタンデムに組み合わせることにより既知の活動依存的プロモーターよりもはるかに強力な神経活動依存性プロモーターenhanced SARE(ESARE)の開発に成功した(Kawashima et al., 2013)。さらにESAREを用いたレポーターシステムを構築しマウス大脳における神経活動依存的な遺伝子発現を個体で観察することが可能となった(Kawashima et al., 2014)。 成果2.転写因子コアクチベーターであるCRTC1がSAREに結合し、Arcの発現制御に重要な役割を果たしていることを見出した。 成果3.Arcプロモーター下でArcを発現するトランスジェニックマウスや条件的Arc欠損マウスを用いた認知課題の遂行能力を解析し予備的な結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Arc遺伝子の発現調節機構の解析は当初計画どおりに進んでおり、また、シナプス形態や神経回路の解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、計画通り研究を推進する。特に、遺伝子改変マウスを用いたArc遺伝子や制御領域SAREの生理機能の解析を重点的に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度半ばに研究機関の異動があり、一時的に研究のペースが低下したため助成金の一部を次年度に繰り越した。 この助成金は次年度の研究費と合わせて試薬代・消耗品代などの物品費として使用する。
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