研究課題
シナプスで起った可塑的変化を長い期間にわたり保持・持続するためには、活動依存的な新規遺伝子発現が必須である。しかし誘導された遺伝子産物がいかにして、当初入力を受けたシナプスにおける活動の制御を担うのか、そのメカニズムは未解明のままである。本研究提案では、この「核からシナプスへのシグナリング」の問題を解き明かすため、神経特異的前初期遺伝子Arcに焦点を当て、これまでに申請者が作出してきたArc関連試薬(特異的Arc抗体、Arcイメージングプローブ、Arc関連遺伝子改変マウス)を用い、Arc誘導後のシナプスへのターゲティングならびにArcによるシナプス制御機構を明らかにすることを目的とする。平成26年度は以下の計画で研究を実施し、これまで得られた結果と合わせて総括を行った。1.Arcエンハンサーを介した活動依存的遺伝子発現の生理的機能の解明: 転写因子および転写コアクチベーターがArc発現に果たす役割を解析し、Arcエンハンサーを介した活動依存的な遺伝子発現がシナプス機能や認知機能を調節している可能性が示唆された(Nonaka et al., 2014; Fukuchi et al., 2015)。2.核からシナプスへのシグナルの解析: 培養神経細胞を用いて可塑性誘導条件におけるグルタミン酸受容体およびArcの動態を計測した。また、Arcトランスジェニックマウスを用いて全脳マッピングを行いArc発現動態の可視化に成功した(Vousden et a., 2014)。3.Arcと共発現する活動依存的遺伝子群の解析: Arc発現細胞から抽出したRNAを用いて網羅的な遺伝子発現を行う手法を確立し統計的有意に共発現を示す遺伝子群を同定した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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