研究課題
本研究ではRNA代謝異常の概念に着目し、ALS早期発見バイオマーカー候補因子を抽出を行った。 ALSの原因遺伝子の一つであるTDP-43は、標的RNAのスプライシング調節などを行うRNA結合タンパク質であり、ALS患者の運動ニューロンにおいて異常局在を示すことが報告されている。我々が作製した変異型TDP-43 ノックインマウスは、生後7ヶ月頃より遅発性の運動機能障害を示すことから、症状の進行時期を反映したバイオマーカー検索が可能である。そこで、変異型TDP-43に起因するRNA代謝異常を運動機能障害発症前に末梢血中で捉えることがALSの新規バイオマーカーの発見に繋がると考えた。まず、4ヶ月(ALS様症状発症前)、7ヶ月(発症期)、22ヶ月齢(発症後)にて、total TDP-43、ヒト変異型TDP-43、マウス正常TDP-43の末梢白血球中のmRNA量について検討を行った結果、2系統の変異型マウスでは、変異型TDP-43の存在により正常アリル由来のTDP-43を補おうとする機構がオンセット前から働いていることがわかった。また、網羅的にバイオマーカー候補因子を抽出するため、7ヶ月齢の変異型TDP-43(A382T)ノックインマウスの末梢白血球由来RNAを用いてエクソンアレイを行った。野生型マウスと比較してmRNA量およびスプライスパターンに3倍以上変動のあったものを一次候補因子とした。抽出された候補因子のうち、Neuronal apoptosis inhibitory protein(NAIP)ののmRNA量解析を行ったところ、2系統の変異型マウス間で若年期から有意に異なる経過をたどることがわかった。TDP-43、NAIPを含めた複数の項目を総合評価すればRNA代謝異常検出できる可能性が示された。この評価法は、ALS患者のRNA代謝解析にも有用であると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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