研究課題/領域番号 |
24300124
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榎本 和生 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80300953)
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研究分担者 |
古泉 博之 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 「神経細胞生物学部門」, 研究員 (10334335)
金井 誠 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 「神経細胞生物学部門」, 研究員 (50598034)
金森 麗 (森川 麗) 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 「神経細胞生物学部門」, 研究員 (50534575)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感覚ニューロン / 受容領域 / 再編 / 維持 / ショウジョウバエ / 樹状突起 / リン酸化酵素 / シグナル伝達 |
研究概要 |
感覚ニューロンの樹状突起は、適切な場所に特定のパターンで形成されるが、その制御機構は未だ不明な点が多い。我々は、ショウジョウバエ幼虫の感覚ニューロンを解析モデルとして、樹状突起の形成・再編・維持の各ステップを規定する分子細胞基盤の解明を進めてきた。その過程において、NDRキナーゼ・ファミリーに属するTrcキナーゼとWtsキナーゼが、それぞれ樹状突起の形成と維持に重要であること、さらに、その上流制御因子であるHpoキナーゼが、TrcキナーゼとWtsキナーゼのリン酸化を介して、形成から維持への移行を制御することを見出した。本研究では、まず、Hpoキナーゼ、Trcキナーゼ、Wtsキナーゼに着目し、その三者が神経発生のステージにおいて、どのように相互作用することにより、形成から維持への移行を時空間レベルで制御されているのかを明らかにすることを目指す。さらに、形成・再編・維持の各ステップに関わる新規分子メカニズムの同定を目指す。 平成25年度は、まず、樹状突起の再編において、不要突起の刈り込みを制御する分子メカニズムを明らかにし、その成果を発表した(Kanamori et al. Science 2013)。具体的には、刈り込まれる樹状突起のみにカルシウム流入が起きることにより、タンパク質切断因子カルパインの活性化を誘導し、その突起の不安定化が誘導されることを示した。並行して、Hpoキナーゼ、Trcキナーゼ、Wtsキナーゼの相互作用を時空間レベルで可視化する手法を開発し、感覚ニューロン内において、詳細な相互作用を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度はおおむね順調に進展した。Hpoキナーゼ、Trcキナーゼ、Wtsキナーゼの相互作用を時空間レベルで可視化する手法を開発し成功したことにより、今後、3者の相互作用様式について分子レベルの理解が進むと期待される。また、樹状突起の再編において、不要突起の刈り込みを制御する分子メカニズムを世界にさきがけて明らかにすることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、Hpoキナーゼ、Trcキナーゼ、Wtsキナーゼの相互作用様式について分子レベルの理解が進むと期待される。また、このリン酸化シグナルカスケードと、カルシウム流入を介する刈り込み制御機構との関連を明らかにしたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度にHpoおよびWtsの相互作用解析を行う予定であり、それに使用する消耗品費に使用するため。 平成26年度にHpoおよびWtsの相互作用解析を行う予定であり、それに使用する消耗品費に使用するため。
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