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2012 年度 実績報告書

自己と他者の動作情報の動的脳内表現

研究課題

研究課題/領域番号 24300125
研究種目

基盤研究(B)

研究機関関西医科大学

研究代表者

磯田 昌岐  関西医科大学, 医学部, 准教授 (90466029)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード自己 / 他者 / 行動モニタリング / 観察学習 / 前頭葉内側皮質 / サル / 単一神経細胞活動記録
研究概要

他者の行動は,その背景にある信念や意図を推測するために重要な手がかりを与える.また,他者の行動を注意深く観察することにより,ダイナミックに変化する社会状況においてどのような行動が最も適しているのかを,自らは行わずして学ぶことができる.このような他者の行動への注意と他者の行動の適切さの判断が,脳のどの領域のどのような神経活動によって実現されているのかを明らかにするため,マカクザルを用いた電気生理学的研究を実施した.まず,2頭のサルを60センチ四方のテーブルを挟んで向い合せに座らせ,互いに相手の行動情報を使って自己の最適行動を導くことを要求する行動課題(役割交代課題という)を考案した.課題遂行の正解率とリッキング運動を指標とした行動解析によって,各サルが自己の行動制御のために他者の行動情報を正しく利用していることを明らかにした.さらに,単一神経細胞活動記録法により,大脳前頭葉内側皮質の神経細胞が,他者の行動の過ちをリアルタイムで検出していることを見出した.特に,同皮質の背側部の神経細胞が,他者の行動が誤っていたか否かを忠実にモニターしているのに対し,腹側部の神経細胞は,他者の過ちをもとに自己の行動を正しく導くことに関与していることを明らかにした.以上の結果は,前頭葉内側皮質が観察学習において重要な役割を担っていることを示すと同時に,同部の異なる亜領域が観察学習の異なる側面に関与していることを示した点で画期的である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画にそって実験動物を適切に制御した行動パラダイムを確立し,電気生理学的実験を遂行し,意義深いデータを取得することができた.さらに,その成果を学会や学術誌で発表することができた.

今後の研究の推進方策

当初の研究実施計画に従って本研究を推進していく.

次年度の研究費の使用計画

本研究の被験動物として購入したニホンザル個体2頭が,それまでに使用していた個体よりも体格がかなり小さかったため,新たにモンキーチェアを設計し,製作する必要性が生じた.設計・製作に時間を要したため,経費を次年度に繰り越した.これを除けば,本年度の研究費使用計画に変更はなく,当初予定通りの執行が見込まれる.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Global dysrhythmia of cerebro-basal ganglia-cerebellar networks underlies motor tics following striatal disinhibition2013

    • 著者名/発表者名
      Kevin W McCairn
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 33 ページ: 697-708

    • DOI

      doi:10.1523/JNEUROSCI.4018-12.2013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Social error monitoring in macaque frontal cortex2012

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Yoshida
    • 雑誌名

      Nature Neuroscience

      巻: 15 ページ: 1307-1312

    • DOI

      doi:10.1038/nn.3180

    • 査読あり
  • [学会発表] Monitoring other's actions in the medial prefrontal cortex of the macaque2012

    • 著者名/発表者名
      Masaki Isoda
    • 学会等名
      第3回前頭前野国際シンポジウム
    • 発表場所
      稲盛財団記念館(京都府)(招待講演)
    • 年月日
      2012-11-30
  • [学会発表] 眼球運動を手がかりとして認知機能の脳内機構を探る2012

    • 著者名/発表者名
      磯田昌岐
    • 学会等名
      第50回日本神経眼科学会総会
    • 発表場所
      京都テルサ(京都府)(招待講演)
    • 年月日
      2012-11-18
  • [学会発表] Atypical agent-related activities in the medial frontal cortex of a monkey with impaired social monitoring2012

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Yoshida
    • 学会等名
      第42回北米神経科学学会大会
    • 発表場所
      Ernest N. Memorial Convention Center (米国ルイジアナ州)
    • 年月日
      2012-10-14
  • [学会発表] The cerebellum contributes to basal ganglia mediated motor tics2012

    • 著者名/発表者名
      Kevin W McCairn
    • 学会等名
      第35回日本神経科学学会大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
    • 年月日
      2012-09-20
  • [学会発表] Probing the neural correlates of self and others' actions in monkey medial frontal cortex2012

    • 著者名/発表者名
      Masaki Isoda
    • 学会等名
      Mirror neurons : 20 years after the discovery
    • 発表場所
      百周年時計台記念館(京都府)(招待講演)
    • 年月日
      2012-09-09

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公開日: 2014-07-16  

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