脳の神経細胞による自己と他者の動作表象の動的側面を検討した.大脳の前頭葉内側皮質では,自己の動作表象が行動環境を共有する他者の有無(社会的文脈)により影響を受けることを明らかにした.また,同脳領域の他者の動作表象は,そのような社会的文脈に加え,他者の動作の適切さという行動文脈の影響を受けることを明らかにした.さらに,他者の動作情報をモニター・利用できない個体では,他者の動作表象の欠落が認められることを明らかにした.本研究の成果は,自他認識の変容をきたす精神疾患の病態を理解するうえで有用と考えられる.
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