今後の研究の推進方策 |
大脳新皮質の層構築形成で重要な現象は皮質板の形成であるが、一連のミュータントマウスの皮質神経回路を明らかにすることにより、大脳新皮質の層特異的神経回路の形成機構の面から大脳新皮質に共通する作動原理を明らかにすることが本研究のゴールである。このような目標に向かって今後は以下の実験を行う。 (1)今回電気穿孔法によりE11, E12, E13, E14.5日胎児の大脳皮質脳室帯にDab1cDNAのN末フラグメントあるいはC末フラグメントとEGFP発現プラスミッドの遺伝子導入を行い、その2~4日後のE18日およびP1に潅流固定を行い、胎児を固定して凍結切片を作成する。EGFP標識ニューロンの中間帯と皮質板内分布を指標にDab1分子内の機能ドメインの細胞移動に関する関与を調べる。また脳室下帯上部/中間帯下部における多極性/双極性形態変化を調べる。 (2)E11, E12, E13, E14.5日胎児のミュータント動物(リーラー、ヨタリ、Dab1cKO)および対照動物の母体にBrdU を腹腔内投与し、12 時間-32 時間後に母体より胎児を得て、パラフォルムアルデヒドにて固定後、凍結切片を作成し、BrdU の抗体を用いた免疫染色により、大脳皮質各層を構成するニューロン群の birth date を明らかにする。さらにP19日齢の上記動物の逆行性標識法とbirth date labeling 法を組み合わせ、層特異的投射ニューロンの皮質内位置とbirth date との関係を二重標識法にて明らかにする。 (3)終脳特異的Dab1 cKOマウスの大脳皮質第5層ニューロンの投射先である脊髄、上丘、下丘にトレーサを注入し、運動野、視覚野、聴覚野における皮質脊髄路、皮質視蓋路、皮質下丘路ニューロンの皮質内分布を調べる。
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