研究課題/領域番号 |
24300128
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
河田 光博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60112512)
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研究分担者 |
時田 美和子 (馬杉 美和子) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10420712)
山田 俊児 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40454079)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 性分化 / 性ホルモン分子 / モニターニューロン / イメージング / エピジェネティック / 性行動 / シナプス / 臨界期 |
研究概要 |
本研究の目的は、胎生期や出生直後の体外ホルモン環境がエピジェネティックに作用し、神経系の性差形成がなされるのか、また性ホルモン分子とその受容体がどのようにこれらの機構に関与するのか、分子、細胞、組織、個体行動面から解析しようとするものである。 エピジェネティック制御機構に関わるヒストンの脱アセチル化酵素が脳の性分化にかかわるのか、その阻害剤であるやsiRNAを出生直後の雄の脳室内に注入したところ、明らかに雄の成熟時での性行動の抑制が認められた。これらから、転写因子の性分化に対する役割が明確になった。また、アンドロゲン受容体の特異的アンタゴニストを出生後の雄に投与したところ、生後二週までが性行動発現にクリティカルで、その後は影響がないことが判明した。 雌の性行動発現(ロードーシス)についての神経回路の研究を継続させた。本年度ではこれらの詳細機構を深め、逆行性トレーサー、雄のマウント刺激の分子マーカー(cFos)、グルタミン酸作動分子を組織化学的に用い、雌の中脳中心灰色質の外側に位置するニューロンは延髄巨大網様体核に投射し、伝達分子としてグルタミン酸を用いていることを証明した。一方、エストロゲン関連受容体とエストロゲン受容体の分子相関についても、分子イメージング法によってそのメカニズムを追求し、エストロゲン関連受容体のサブタイプであるβが、より特異的に関わっていることを明らかにした。 また、行動の一つの表現型として性行動のほかに、性ホルモン依存性の痒感覚に関する実験も新たに追加し、この機構にガストリン放出ペプチド (GRP)が脊髄レベルで関与していることを明らかにした。このGRPのシナプス微細形態についてはSBF/SEMによる3Dイメージングを行い、ペプチドニューロンのバリコース型シナプス連絡について新たな構造調節に関わる所見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的に沿って、計画は実行されており、性ホルモンによる分子・行動神経内分泌研究に関する業績も上がり、学会発表、論文発表も多数行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の計画の大幅な変更は現在のところ考えていない。
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次年度の研究費の使用計画 |
助成金繰り越しについては、次年度に重点的に行う分子イメージングとエピジェネティック変化の解析に用いる消耗品費用に充てるとともに、引き続き研究推進のため、研究実験補助員の雇用に充てる。 分子イメージングに用いる消耗品としては、遺伝子トランスフェクション試薬、細胞培養培地および血液の購入に大部分を充てる。エピジェネティック変化の解析に用いる消耗品としては、遺伝子生成キットおよび遺伝子シークエンスの購入に充てる。 また、これらの実験に研究補助員の協力を得る。
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