研究課題/領域番号 |
24300129
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
LAZARUS Michael 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 研究員 (80469650)
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研究分担者 |
CHERASSE Yoan (公財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (60544319)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 睡眠 / カフェイン / アデノ随伴ウィルス / 光遺伝学 / 側坐核 / 覚醒 / 受容体 / 薬理遺伝学 |
研究概要 |
睡眠は最も謎に満ちた脳機能の一つである。睡眠もしくは睡眠類似状態は中枢神経系を持つ全ての生物に存在する。しかし我々人間はしばしば睡眠を蔑ろにし、疲労を感じても社会的要請または娯楽のために長時間覚醒する。現代社会において長時間覚醒する必要性は増加しており、カフェインなどの向精神薬や処方薬の乱用を伴うことがある。大脳基底核はこれらの行動に重要な領域であり、運動機能・習慣形成・嗜癖行動など覚醒に依存する行動に関わる神経核で構成される。睡眠誘発機構の一つはアデノシンによるA_<2A>受容体の活性化である。A_<2A>受容体は大脳基底核間接路の線条体淡蒼球系神経に高発現し、ドーパミンD_2受容体と共発現する。大脳基底核のA_<2A>受容体が睡眠覚醒調節へ果たす役割は明らかでない。我々はこれまでにカフェインの覚醒効果が側坐核shellのA_<2A>受容体に依存することを見出した。本研究では大脳基底核のA_<2A>受容体の睡眠覚醒調節における役割を、局所的遺伝子操作を行う強力な手法を用いて調べた。A_<2A>受容体プロモーターの下流でCreを発現するマウスの側坐核に、Cre依存的に発現するチャネルロドプシンもしくはdesigner receptors exclusively activated by a designer drug(DREADD)をアデノ随伴ウイルスにより導入したところ、強力なノンレム睡眠の誘発が、光もしくはclozapine-N-oxideによる線条体淡蒼球神経の活性化により観察された。これらの結果は側坐核のA_<2A>受容体が睡眠覚醒調節の重要な構成要素であることを強力に示唆する。さらに、腹側線条体が行動プロセスによって睡眠覚醒が調節されるための重要領域であり、動機づけなどの行動が睡眠覚醒に本質的に重要である可能性を示唆する(Trends Neurosci, doi : 10.1016/j.tins.2012.07.001)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は主に次の二つのトピックにより構成されている;1)どのように脳が睡眠覚醒を調節しているか2)覚醒・運動・行動プロセスの統合。これらの研究内容は二つの国際総説雑誌(Trends in Neurosciences (5-Year Impact Factor : 14.358)、Current Opinion in Neurobiology (5-Year Impact Factor : 8.742)により神経科学において急速に成熟してきた分野と評され、研究代表者は総説の執筆を依頼された。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果をNEURO2013(第36回日本神経科学大会)、日本睡眠学会第38回定期学術集会、World Congress on Sleep Medicine 2013で学会発表する。
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