研究課題
レビー小体病(パーキンソン病、レビー小体型認知症)ではαシヌクレインの異常蓄積が神経細胞の胞体および神経突起に認められ、さらにタンパク質分解酵素に耐性を示す異常αシヌクレインが軸索末端に多量に蓄積している。これらの知見から異常αシヌクレインの蓄積が神経細胞の機能不全を誘発し、レビー小体病の病因の一つであると考えられている。本年度は、オートファジーに着目し、異常αシヌクレインの蓄積を防止または軽減することでレビー小体病の症状を改善する方法について検討した。実験動物として、正常マウスおよび家族性の点突然変異(A53T)を導入したαシヌクレイントランスジェニックマウスを用いた。さらに、ヒト培養細胞に加え、ヒト脳内におけるオートファジーを検討するために、レビー小体病剖検例の凍結脳組織を用いた。天然二糖であるトレハロースまたはマルトースを給水投与したマウス脳を比較し、以下の結果を得た。①トレハロース短期投与(1週間)によって脳内オートファジーが効率的に活性化される、②複数のシャペロン分子(HSP90、SIGMAR1)の発現が亢進する、③αシヌクレイントランスジェニックマウスでは脳内αシヌクレインの全体量に変化はみられないが、 Triton X-100に不溶性のαシヌクレインが減少する。さらに、ヒト培養細胞およびレビー小体病剖検脳組織を用いて、以下の結果を得た。④細胞内の小胞体関連分解を活性化すると細胞内凝集物の形成が有意に抑制される、⑤レビー小体病の患者脳内ではオートファゴソーム形成を調節する分子群の異常が認められる。今回、トレハロースは培養細胞およびマウス脳内において効率的にオートファジーを誘導することが明らかにされた。一方、異常凝集に対する効果は限定的であることが示された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 12件、 謝辞記載あり 12件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
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