脂質は多様な物理化学的性状を有し、タンパク質の働きでは説明できない生理機能を担うことが推察される。本研究では、発生段階の脊髄内の限局した領域でグリア細胞が産生・放出する新たな脂質LysoPtdGlcを発見した。LysoPtdGlcは、脊髄で痛覚と固有感覚を担う軸索を分別することで、感覚神経回路の構築に重要な役割を担う。さらに、LysoPtdGlcの受容体であるGタンパク質共役型受容体GPR55を同定し、LysoPtdGlcあるいはGPR55の阻害により痛覚と固有感覚の軸索が混線することを示した。本研究により、グリアと神経細胞間の情報伝達を担う新たな脂質とその生理機能が解明された。
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