研究課題/領域番号 |
24300145
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
鷹野 誠 久留米大学, 医学部, 教授 (30236252)
|
研究分担者 |
伊藤 政之 久留米大学, 医学部, 助教 (20442535)
武谷 三恵 久留米大学, 医学部, 助教 (30289433)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | バイオペースメーカー / HCN4 / 洞房結節 / 転写因子 |
研究実績の概要 |
【昨年度までの研究実績の概要】完全房室ブロックや洞機能不全症候群などの徐脈性不整脈の新しい治療法として、バイオペースメーカー細胞が注目されている。我々は洞房結節ペースメーカー細胞の分子マーカーであるHCN4チャネルに注目し、HCN4遺伝子座にルシフェラーゼ遺伝子をノックインしたマウス(HCN4+/Luc)を作成することに成功した。さらにHCN4+/Lucマウスから採取した脳・脊髄・洞房結節標本を使ってHCN4発現部位を可視化できることを実証した。
【本年度の研究実績の概要】HCN4+/Lucマウス胎児から線維芽細胞を培養し、iPS細胞の作成を試みたが、形質転換の効率が不十分であった。そこでnanogプロモータでpuromycin耐性遺伝子を発現させるトランスジェニックマウスとHCN4+/Lucを交配し、その胎児から線維芽細胞を培養し、puromycin耐性iPS細胞を作成する準備を行った。 これと平行してHCN4+/Luc新生児の心臓を酵素処理し、磁気標識した抗体を使って線維芽細胞を分離し、心筋細胞を純化して培養した。この心筋細胞に洞房結節特異的転写因子tbx3をレンチウイルスベクターにより遺伝子導入したが、ルシフェラーゼ化学発光を誘導することはできなかった。すなわち海外の研究室から報告された心筋直接再プログラミング法(Nat Biotechnol 2013;31:54-62)は、再現性が極めて低いと結論した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオペースメーカー細胞を分化誘導するために、HCN4遺伝子座にルシフェラーゼをノックインしたiPS細胞、培養心筋細胞、線維芽細胞の三種類のソースを準備することが完了したため。
|
今後の研究の推進方策 |
tbx3に引き続き、洞房結節特異的転写因子をサブクローニングしたレンチウイルスベクターを順次作成する。これをiPS細胞、培養心筋細胞、線維芽細胞に遺伝子導入する。HCN4遺伝子座にノックインしたルシフェラーゼが発現誘導されるならば、その化学発光を定量的に測定できるので、もっともHCN4発現誘導効率の高い転写因子の組み合わせを決定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
想定以上に線維芽細胞からiPS細胞への形質転換効率が悪かった。そこで未分化性マーカーであるnanog遺伝子座にpuromycin耐性遺伝子をノックインしたマウスとHCN4+/Lucマウスとを交配し、puromin耐性iPS細胞を作成する準備が必要となった。そのため当初の計画通りに心筋分化誘導実験を平成26年度内に開始することが出来なかった。平成26年度に購入を予定していた心筋分化誘導用の試薬等には使用期限があるため、購入を延期せざるを得なかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に購入予定であった心筋分化誘導用の試薬・消耗品の購入、遺伝子改変マウスの飼育延長にかかわる経費(飼料等)のために使用する。
|