我々が受け取る視覚情報は多くの場合曖昧で不確かである。有力な学説によると、我々は既存の知識を使って感覚証拠の曖昧さを解消している。この科研費課題は、ベイズ推定を考察し、視覚情報処理における事前知識(Priors)の脳内メカニズムの解明を目指した。機能的MRI、数理分析、及び行動実験においては、物体の動きが遅い場合に事前知識を使用するという結果を得た。また、事前知識によって物体の位置関係が効率よく脳に伝達されることで被験者の課題成績が向上するという仕組みも調べた。さらに、被験者は事前知識と感覚証拠を統合して意思決定を行っているわけではなく、2つを切り替えている、という発見も得ることが出来た。
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