研究課題/領域番号 |
24300147
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
林 拓也 独立行政法人理化学研究所, 分子プロープ機能評価研究チーム, 副チームリーダー (50372115)
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研究分担者 |
尾上 浩隆 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, チームリーダー (80214196)
肥後 範行 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (80357839)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 拡散テンソル / 磁気共鳴画像 / MRI / 線維連絡 / 異方性 / 運動野損傷 / 運動機能障害 / 錘体路 |
研究概要 |
脊髄損傷や運動野限局病変の症例や脳・脊髄損傷動物モデルにおいて損傷直後の高度な運動機能障害の後に、一定の機能回復が起きることが知られている。その運動機能回復を担う内的機構は十分解明されておらず回復を促進・補助する治療法の開発も遅れている。本研究では、MRI画像法を用いて機能的・解剖学的連絡性の変化を観察することで運動機能回復のメカニズムを探ることを目的とする。霊長類動物を用いて運動野損傷モデルを作製し運動課題遂行(指精緻運動)の機能的障害度およびその後の日々の訓練を続けた際の機能回復を観察した。これまでの報告(Murata et al. 2008)と同様に2.3か月かけて運動機能障害が回復した。経過中、拡散テンソル画像を繰り返し撮像し、微細構造の変化の同定を試みた。拡散異方性(fractional anisotropy, FA)の値を算出するための解析プログラムを整備し、個体間や測定間の変動を軽減させる標準化法を開発した。この方法によって運動野損傷後において運動野直下の白質や皮質脊髄路の通過部位(内包後脚、大脳脚など)のFA値が低下していることがわかり運動野皮質神経の軸索変性に合致した拡散特性の変化を同定できた。さらにFA値の上昇を示した部位も複数の灰白質・白質で観察された。これらのことから拡散テンソル画像法による標準的な解析が精度高く評価できること、機能可塑性に関与する部位の同定も可能であることが示唆された。今後詳細な解析を加え薬理学的な実験も行うことで運動機能の可塑性に因果的役割を持つ部位の同定を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度より行ってきた運動野損傷実験モデルの個体3頭において新たな方法により実験を組み合わせて探索的な検討を行う必要が生じたため時間を要したものの、拡散テンソル画像データの解析の向上によって現行の個体数で十分な結果が得られ、予定よりも少ない頭数で報告に値する結果が得られた。そのため結果としては、追加実験分の遅れを挽回することはできおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の計画にあわせ、脳損傷モデル実験を継続する。研究計画を円滑に進めるため実験精度の向上に常に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
翌年度の研究費は、主に動物実験に係る消耗品(動物費用、薬品、手術道具等)の購入に使用する。H24年度基金未使用額(H25年3月末時点)は553,742円であり、次年度に消耗品(動物費、薬品、手術道具)等に充当する。
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