研究課題
注意欠如・多動症 (ADHD)は、脳機能の異常に起因する神経発達障害の一つである(DSM-5, 2013)。最近では約7% (Thomas, 2015) と非常に高い疾病率が報告されている。ADHD児はこれらの症状があるために学校生活や友人との関係などに問題が生じており、また、二次障害として反抗挑戦症、素行症を併存する可能性が高く、うつ病や不安症のリスクも高く、教育や医療面での専門的な支援が課題となっている。成人期には反社会性パーソナリティ障害、物質使用障害や受刑の可能性が高いこともわかっている。そのためADHDは重大な社会問題となっており、ADHD児に対して早期から対応することが非常に大切である。そのためADHDの起因である脳機能や遺伝的メカニズムを解明することが求められている。最終年度である本年度は、以下の2つの研究を遂行した。①ADHD、他の発達に関連する障害(自閉スペクトラム症: ASD、反応性アタッチメント障害: RAD)を対象としたVBM法による脳皮質容積の比較研究結果、ADHDとRADの間にはWhole-brain解析による有意差は見られなかった。しかし、Post-hocのROI解析として、左-被殻の皮質容積を比べると、ADHD < RAD、ADHD < TD、TD = RAD,という結果が認められ、左被殻のGMVの減少はADHD Traitに関連している事が示唆された。②ADHDとの関連性が指摘されてきた種々にドーパミン関連遺伝子多型(DAT1、COMT、NET、SNAP25)解析において、ADHDとの明確な関連性は確認されなかった。しかし、α-2Aアドレナリン受容体の遺伝子多型 ADRA2A(rs1800544)における頻度解析の結果、ADHD群においてGアレルが有意に多く、ADHDとの関連性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (1件) 図書 (4件)
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