ムチン型糖鎖の機能は、その糖鎖構造解析や糖鎖合成が技術的に困難であるためにほとんどわかっていなかった。C1galt1は、ムチン型糖鎖の根本部分であるコア1構造を合成する糖転移酵素である。造血細胞におけるムチン型糖鎖の機能を明らかにするために、インターフェロン誘導型のMx1-Creマウスをドライバーマウスとして、C1galt1遺伝子コンディショナルマウス(Mx-C1)を作製した。Mx-C1マウスは重篤な血小板減少症を示し、GPIbaがその原因分子の一つであることを明らかにした。しかしながら、GPIbaの発現は完全に消失しているわけではないので、GPIba以外の分子の機能不全が病態の原因となっている可能性が考えられた。新たな血小板減少症の原因分子の同定するために、Mx-C1マウスからの血小板を採取してムチン型糖鎖欠損タンパク質をレクチンにより粗精製し、ムチン型糖鎖を持つ糖タンパク質を質量分析により決定した。35種類の糖ペプチドを同定することに成功し、そのうち6種類が血小板に関連する分子であることが明らかになった。
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