研究課題/領域番号 |
24300154
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
國府 力 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70379238)
|
研究分担者 |
宿南 知佐 広島大学, その他の研究科, 教授 (60303905)
開 祐司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40144498)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ゲノム / 発生・分化 / 発現制御 / 軟骨形成 |
研究概要 |
平成25年度は、前年度に引き続き、Pax1遺伝子の陸棲型硬節エンハンサーXe1と水棲型硬節エンハンサーPf1を短い断片に分割し、ゼブラフィッシュ系でのトランスジェニックアッセイにより、エンハンサー活性を担うコアエレメントの絞り込みを進めた。またcross-speciesのゲノム工学実験を行うという本プロジェクトの主旨にしたがい、ゼブラフィッシュ由来のzPf1硬節エンハンサーをマウスに導入したところ、マウス硬節にてマウス由来のmPf1よりも強いエンハンサー活性が検出されるという興味深い結果を得た。なお、これまでのトランスジェニックアッセイで機能評価を行ったエンハンサーの中から重要なものについては、トランスジェニック・ゼブラフィッシュのライン化を行い、明瞭かつ安定的な発現領域を示すラインが得られた。また、マウス前駆軟骨細胞株ATDC5やヒト胎児腎細胞株HEK293Tを用いてluciferase assayを行い、Xe1はPax1によってレポーター活性を上昇させることを見出した。次に、脊椎形成におけるPax1遺伝子の本来の機能の理解を深めるため、マウスのPax1遺伝子を硬節エンハンサーとともにゼブラフィッシュ胚に打ち込んで過剰発現させるという実験を行った。その結果、この条件下では軟骨形成が促進ではなく、むしろ遅延するという観察結果が得られた。この現象に関連して、軟骨形成の評価に適したニワトリ胚、及びニワトリ軟骨細胞の系を用いて、マウスPax1遺伝子の機能解析を行った。その結果、Pax1はその下流転写因子として知られるNkx3.2とは独立した形で、軟骨細胞の分化成熟を抑制する活性を持っていることが明らかになった。この成果については期間中に論文としてまとめ、Experimental Cell Research誌に発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のうち、トランスジェニックアッセイによるエンハンサー解析については一定の進展が得られるとともに、予期せぬ結果も得ることができた。一方、エンハンサーの上流因子の探索については、luciferase assayによるいくつかの知見は得られたものの、プロテオミクス解析の進行が遅れている。しかし、Pax1遺伝子の軟骨分化抑制活性については、年度内に論文発表を行うことができた。以上により、概ね順調に推移していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たり、計画通り研究を遂行するとともに、やや遅れている上流因子の探索を進めてこれまでに得られたデータと統合し、成果発表を行う。
|