研究課題/領域番号 |
24300157
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大橋 俊朗 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30270812)
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研究分担者 |
前田 英次郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20581614)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞培養実験 / マイクロウェルスライド / マイクロフルイディクス / バイオチップ / バイオMEMS |
研究概要 |
従来の細胞の力学応答解析あるいは薬剤感度試験はミリメートルスケールの培養空間の中で行われてきたものが大勢であり,高価な細胞試料や試薬類などの多量使用の問題はもちろんのこと細胞の不均質性の評価など個々の細胞を詳細に解析するには細胞培養空間スケールと細胞寸法スケールに大きな隔たりがあり最適な実験環境とは言えない.そこで本研究の目的は,研究代表者らが開発してきたMEMSデバイス技術をさらに深化させ,細胞の物理環境計測・制御がマイクロメートルスケールの空間で実現できる多種多様なMEMSデバイスを開発することである.本年度は,開発を進めてきた細胞流れ負荷実験デバイスの開発,細胞薬剤感度実験デバイスの開発,細胞遊走実験デバイスの開発において,デバイスの改良にもう少し時間を必要したため,前年度の研究を引き続き平成25年8月まで継続するとともに,前年度に引き続き細胞培養実験を継続し本デバイスの有効性を確認した.その結果,細胞流れ負荷実験デバイスにおいては,異なる流れせん断応力を血管内皮細胞に負荷することにより細胞流れ負荷実験が可能であること,細胞薬剤感度実験デバイスにおいては異なる濃度のサポニンを内皮細胞に投与することにより薬剤濃度に対する感度実験が可能であること,細胞遊走実験デバイスにおいては繊維芽細胞の遊走時の牽引力ダイナミクスを計測することにより細胞遊走のメカニズムを力学的に検討できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で掲げた細胞流れ負荷実験デバイスの開発,細胞薬剤感度実験デバイスの開発および細胞遊走実験デバイスの開発はほぼ順調に行われてきており,現在デバイスの検証実験を重ねハイスループット細胞培養実験デバイスとして有効であることを確認しつつある.ただし,今後さらに実験を継続していく中で改良点があれば検討し柔軟に対応していく.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発を進めてきた,細胞流れ負荷実験デバイスの開発,細胞薬剤感度実験デバイスの開発および細胞遊走実験デバイスを用いて引き続き以下の研究項目を推進する. 1. 細胞流れ負荷実験デバイスの開発:引き続き細胞培養実験を継続しデータ数の増加に努める.特に形態変化に着目して異なる流れせん断応力に対する細胞応答観察を行う.また,マイクロウェル内底面に培養した細胞に層流を負荷するために,CFDによる流体解析を行い細胞周囲の流れ場を詳細に把握する. 2. 細胞薬剤感度実験デバイスの開発:引き続き細胞培養実験を継続しデータ数の増加に努める.試薬として細胞毒性のあるサポニンを利用し,細胞の生死判定により本デバイスの有効性を確認する. 3. 細胞遊走実験デバイスの開発:引き続き細胞培養実験を継続しデータ数の増加に努める.個々の細胞の経時的変化に着目し,集団細胞の遊走と個々の細胞の遊走を比較・検討する. 以上の実験をまとめ,最終年度のまとめとして学会発表ならびに論文発表を積極的に行う.
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