研究課題
人工肺・血液ポンプ・チューブから構成される心肺補助回路にセンサ取付部を備えたディスポーザブルユニットと,血液ポンプの駆動状態等の心肺補助管理に要するパラメータを計測するセンサ群と各パラメータをアラーム機能と連動させて表示するタッチパネルディスプレイ等から構成されるドライブユニットを組み合わせた1次試作モジュールを製作し得た.本システムの筐体サイズは,市販酸素ボンベ込みで縦405×横290×奥行205 mm,重量は9.0 kgであった.ドライブユニットには,流量,酸素飽和度,圧力,温度センサが埋込もしくはケーブル接続され,測定された各パラメータやそれらに応じて設定可能なアラームおよび内蔵バッテリ状態等が53×95 mmのタッチパネルディスプレイに表示可能とした.流量や圧力は20 Hzでサンプリングされており,それらの6 secの瞬時波形や6 hourの経過波形も表示可能とした.本モジュールは,内蔵のバッテリと市販酸素ボンベにより,単独でも60 minの駆動が可能とした.一次試作モジュールに対して,研究者,医師,臨床工学技師による評価を行い.形状,操作性,測定項目の表示内容および視認性に高評価を得た.一方,一部従来品と同様のセンサープローブを採用したが,露出するケーブルの管理やディスポーザブル部のセンサ取付部が,携帯使用時の安全性や耐久性に関して問題とされた.長期使用時に人工肺のガス交換性能を低下させる要因である,ガス流出部の結露水発生の問題も指摘された.開発したガス移動解析手法を用いて1次試作用人工肺のガス交換性能の推定を行い,推定値の実測値平均値に対する相対誤差は,11~33%と実測値の標準偏差の範囲内に収まっており,妥当性が確かめられた.この数値解析手法よる検討を行い,人工肺メーカで製造可能な補助用超小型人工肺のためのサイズ縮小の設計指針を得た.
2: おおむね順調に進展している
最も費用と時間を要すると考えていた超小型心肺補助システムの1次試作を,企業の協力も得る事で達成することができた.この1次試作モジュールの評価において問題点が指摘されたが,検討課題や改良を要する点が明確であったため,本モジュールでの動物実験は行わずに,2次試作を前倒した計画案を立てることができた.また,数値解析手法による補助用超小型人工肺開発についても設計指針を得るに至っている.
本年度と同様に,進捗状況に応じて適宜評価しつつ,計画の部分的な前倒し等の調整を図ることで,年度毎の計画目標達成を目指す.
本年度は,企業の協力等により試作に要する物品費や謝金の予定額を要することなく,計画を十分に達成し得たため,当該助成金が生じた.次年度は,さらなる進捗の効率化を目指して,設計・解析に要する関連品,機器の試作および実験に関わる消耗品等に費用を充てる予定である.
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