研究課題/領域番号 |
24300170
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
位高 啓史 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60292926)
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研究分担者 |
石井 武彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80415075)
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 運動機能系障害研究部, 研究部長 (00392192)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 届出診療医 (40282660)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | mRNA / DDS / ナノミセル / 神経障害 |
研究概要 |
平成25年度はmRNAデリバリーに向けたナノミセル型キャリア最適化をさらに進めた.ポリマー側鎖のエチレンジアミン繰り返し数を変化させた改変型ポリマーに関して,繰り返し数が奇数であるポリマー(PAspTET)はmRNAの酵素耐性,血清中の安定性が高まることを明らかとした.細胞内でmRNAを内包したキャリアが安定に存在することにより,培養細胞で数日を超える持続発現が得られ,現在投稿準備中である.また同ポリマーをin vivo投与へも展開し,既に局所投与系で1週を超えるタンパク発現持続の効果が得られ,さらに検討を進めているところである. PEG-PAspDETブロックポリマーを用いたin vivo投与では,疾患治療に向けたPOCとして,マウス嗅覚障害モデルに対し,神経栄養因子BDNF発現mRNAの点鼻投与による治療を行ったところ,嗅覚機能の早期改善,嗅上皮の再生促進効果が確認された.mRNA生体内投与による神経疾患治療への可能性を実証した初めての例であり,現在投稿準備中である. またキャリアの全身投与におけるターゲティング,局所でのタンパク持続発現化を目標とするキャリア設計最適化を目的として,プラスミドDNA内包キャリアを用いた生体内評価も平行して進めた.リガンドやDNA凝縮制御のがん治療効果の向上を確認し,それぞれBiomaterials誌へ論文発表を行った.また骨格筋へのハイドロダイナミクス投与により,マウス末梢神経障害モデルに対する早期機能改善が得られ,J Control Release誌へ論文発表を行った.いずれの系もさらにmRNA投与へ展開し,現在検討を進めている. さらに,mRNAの有効な生体内投与に資するカチオン性ポリマーの設計およびその機能について,特許出願を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実績概要欄に記載できなかったが,神経障害への適応としては,脊髄損傷モデルについても結果が得られており,またテンプレートDNAへのPolyA Tail配列組み込みについても,PolyA鎖長240で特異的に高いタンパク発現の得られることが明らかとなり,特許出願,論文作成を進めている.このように多くの系に対して,mRNA内包キャリアの適応が進められており,デリバリーシステム開発・治療応用の目的に対して,本研究は当初の計画以上に進展しているものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,脊髄・末梢神経の神経障害モデルマウスに対するmRNA内包キャリアの投与実験を推進する.また成果を論文,学会等で広く情報発信し,mRNAの新しいバイオ医薬品としての医療応用に向けた努力を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度計画した嗅覚障害モデル動物に対する実験が計画より早期に終了したため. 脊髄・末梢神経の神経障害モデル動物に対する実験をより規模拡大して実施する.
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