研究課題/領域番号 |
24300171
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原 慶宏 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00422296)
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研究分担者 |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
茂呂 徹 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (20302698)
金野 智浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任准教授 (80371706)
森崎 裕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30508099)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腱癒着 / 癒着防止剤 / PMPCゲル / PRP |
研究概要 |
腱手術の深刻な合併症である腱癒着・再断裂を阻止するため、生体親和性に優れたポリマーゲル(PMPCゲル)を癒着防止材として実用化するための基礎検討を行った。 PMPCゲルはPMBVとポリビニルアルコール(PVA)の可逆的結合により形成されるが、限外濾過法によりアルブミンに近い低分子量の水溶性PMPCの作成を試みた。各種濃度のPMBVとPVAの組み合わせを検討したが、生体内での解離速度などから、本実験にもちいるPMPCゲル合成の条件は、5.0%PMBV+2.5%PVAを用いる事と決定した。 続いて、上記条件で作成されるPMPCゲルの癒着防止効果を、家兎モデルを用いて検討した。具体的には、全身麻酔下にヒトZone II屈筋腱損傷に相当する腱断裂に対する腱縫合での癒着防止、治癒促進効果を検討した。癒着防止効果の測定には組織学的評価・力学的評価を行い、同時に治癒に対する影響を計るため、縫合腱の破断強度測定なども行った。1週経過時のWOF(Work of flexion)を測定すると、PMPC群で有意に低く、PMPCの癒着防止効果が示唆された。また、1週経過時の縫合腱破断強度に有意差はなく、PMPCは腱の治癒を阻害する作用はないと考えられた。 PMPCゲルと併用する治癒促進効果を期待できる候補物質として、多血小板血漿(platelet rich plasma : PRP)に着目した。PRPは精製方法ならびにゲル化方法によってその性質が大きく異なる事から、本実験系における最適な精製方法ならびにゲル化条件について検討した。精製方法としてはDouble spin法が血小板の回収率が高かった。ゲル化の際にはCaのみで行う方法もあったが、同方法ではゲルの強度が低かった。そのため本実験では強度に優れるトロンビン+Caを用いてゲル化を行う方針とした。
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