研究課題/領域番号 |
24300172
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村田 正治 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (30304744)
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研究分担者 |
橋爪 誠 九州大学, 医学研究院, 教授 (90198664)
河野 喬仁 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 学術研究員 (90526831)
濱野 展人 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 学術研究員 (80708397)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ材料 / MRI / 造影剤 / タンパク工学 |
研究概要 |
画像診断法の発展は疾病の早期発見とその治療効果の改善にめざましい進歩をもたらしている。なかでもMRIは非侵襲・無障害であること、そして軟部組織コントラストが高く、空間分解能に優れていることから臨床医学の現場において重要な位置を占めている。MRI造影剤の利用は病変部位の明瞭な描画のために必要不可欠の手段となりつつある。既に、肝臓、脾臓、そして骨髄といった網内系に特異的な造影剤が臨床において広く使われており、組織選択性という観点では大きな成果を上げている。しかし癌など特定の疾患に対する特異性は低く、未だ開発途上と言わざるを得ない。そこで本研究では、癌部ターゲティングが可能なキャリアとMRI造影剤の複合化を目的とした。 本年度も引き続きタンパク質ナノカプセルの内孔に配向しているヘリックスの改変によるカプセル構造の改良、ならびに造影機能の改善を目指した。具体的には、遺伝子組み換えによってN末端の疎水性ヘリックスをリピートさせた変異体(リピート数1~4)を作成し、大腸菌から大量発現した。これらの組み換えタンパク質をクロマトグラフィーによって精製し、その物性を動的光散乱法(DLS)によって評価したところいずれも数十nmの粒径をもつナノ構造体であった。これらの緩和度を1.5T MRIによって測定したところ、その値はリピート数の増加とともに上昇し、1回リピートの14.6から4回リピートでは46.4mM-1S-1に達した。これはカプセル内孔のCys残基にGd 錯体が配位し、結果としてGd 錯体の回転運動が抑制されること(高分子効果)によるものと推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カプセルの構造と内包するMRI造影剤の感度向上に相関性があることが新たに見出されたため、研究の方向性を若干修正しているが、計画自体はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ナノカプセル型MRI造影剤の開発を推進する。今後はカプセルに内包することによる緩和度上昇の機序を解明し、さらなる込んだ向上に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
シグナルペプチドを利用して、カプセル外殻にアンテナ分子として糖鎖を導入する方法を検討している。平成25年度においては遺伝子組み換えによりそのシグナルペプチドの最適化を実施したが、想定以上に演繹的となり、糖鎖の解析までには至らなかった。そこで計画を変更し、実際の糖鎖の解析は平成26年度に外注により実施することにしたため、未使用額が生じた。 平成26年度の早い時期までに、糖鎖付加シグナルペプチドの組み込みを完了する。生成した糖鎖は専門業者に外注し、配列を含めてより詳細に解析する。
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