研究課題/領域番号 |
24300173
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木戸秋 悟 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10336018)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 幹細胞 / メカノバイオロジー |
研究概要 |
再生医療においては、使用する幹細胞の性質を長期間安定に保持しつつ大量に増殖させる技術の拡充が強く求められている。本研究はこの課題に応えるため、幹細胞の分化フラストレーションを誘導する微視的培養力学場の勾配材料・パターニング材料を開発し、間葉系幹細胞やiPS細胞の大量増殖、安定供給を可能とする新規の培養基材の構築を目的とする。幹細胞の分化フラストレーションとは、細胞サイズ以下の微視的な不均一弾性分布を有する培養基材上で、幹細胞の系統決定が抑制される現象であり、研究代表者らが独自に見出した知見である。本研究では、この現象の、幹細胞操作材料構築への応用とともに、そのメカニズム理解のための基礎研究に取り組む。初年度は、申請者がこれまでに確立してきているマイクロ弾性勾配ゲルの微分弾性勾配および多段勾配の精密設計法を応用して細胞運動の方向性・速度の制御条件の基材表面の弾性特性依存性を系統的に調査した。特にファイマンラチェット型非対称弾性勾配ゲルの設計条件を確立した。設計要因として、不連続弾性ジャンプ幅、弾性率の緩慢減衰幅、ユニットパターンのサイズ、間隔、および弾性境界の曲率・形状などの最適化条件を探索し、幹細胞の一定弾性領域への非定住運動モードを安定に誘導するマイクロ弾性パターニングゲルの設計条件を蓄積できた。その非定住運動を経験させたMSCに対して、各種幹細胞マーカー、および分化マーカーの発現チェックを行うとともに、骨・軟骨・脂肪の三方向分化能の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲルの弾性パターニングについては、ゼラチンゲルの弾性制御の高い再現性を得る技術を徹底的に確立し得たため、系統的なパターニング実験が順調に行えている。幹細胞評価についても十分な基礎データの蓄積ができ、弾性パターニングゲル上での精密評価実験の準備が着実に整ってきている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初計画どおり、幹細胞の分化フラストレーションの精密評価と分子メカニズムの検証に取り組む。幹細胞の未分化マーカー、分化マーカーの発現評価、ウェスタンブロッティングによる発現量解析、および各種〓〓ミックス解析を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
幹細胞の各種発現マーカーの免疫蛍光染色実験に際して、マーカーの抗体分子を購入して評価してきていたが、そのうちには十分な染色が行えない製品も含まれており、より力価の高い抗体を選定する段階で、時間がかかっており、抗体購入費の留保が生じた。次年度は迅速にその評価実験を継続し、早急に評価系を確立する。
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