研究課題
本研究では,革新的な医療システムを構築するためのスマートバイオマテリアルの創成を目指してきた。平成27年度は以下のような研究成果が得られた。(i) 動的架橋構造を導入したソフトマテリアルの創成:複数の抗原抗体結合を有する相互進入網目(IPN)ゲルを合成し,その膜構造と複数抗原応答挙動との関係を検討した。また,末端にビオチンを導入した4分岐ポリエチレングリコールを合成し,アビジン存在下でのゲル化を確認した。これにフリーのビオチンを添加すると再びゾル状態へと変化した。したがって,標的分子に応答してゾル-ゲル相転移する刺激応答性ポリマーの設計が可能となった。(ii) 生体分子応答性DDSの構築:動的架橋点としてジスルフィド結合を有するモノマーを用いたソープフリー乳化重合法により酸性条件下と還元環境下の二重刺激に応答して膨潤するナノ粒子を合成した。さらに,そのナノ粒子の構造を詳細に検討し,粒子表面近傍にジスルフィド結合が多く存在することを明らかにした。(iii) 革新的ゲル診断システムの構築:革新的な診断システムを開発するため,生体分子応答性ゲル内に金ナノ粒子を均一分散させる方法を検討した。その結果,金ナノ粒子の表面に重合性官能基を導入することにより,新規な金ナノ粒子モノマーの調製に成功した。これと各種モノマーを共重合することにより,金ナノ粒子均一分散ゲルを調製することができた。(iv) 光応答性ポリマーによる表面パターニングシステムの構築:光二量化基を導入したシロキサン系高分子にフォトマスクを通して光照射すると,明確な表面パターンが形成された。この表面でいくつかの細胞を培養すると,いずれの場合も表面パターンに対応した細胞パターンの形成が確認できた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Imprinting
巻: 4 ページ: 21-30
10.1515/molim-2016-0003
Chem. Lett.
巻: 44 ページ: 1284-1286
10.1246/cl.150464