研究課題/領域番号 |
24300177
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
陳 国平 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, ユニット長 (50357505)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マトリックス / 足場材料 / 三次元細胞培養 / 鋳型法 / 脱細胞化 / 多孔質構造 / 生体親和性 |
研究概要 |
きわめて高い生体親和性を有する細胞由来マトリックス足場材料を得るために、三次元細胞培養と鋳型法を利用した足場材料の作製法を開発し、その作製方法を最適化した。まず、鋳型で培養した細胞から細胞成分を除去するための条件を決定するために、(1)凍結・解凍の繰り返しとアンモニア水、(2)0.1% Triton X-10と1.5MKCI、(3)凍結・解凍の繰り返し、(4)アンモニア水単独、(5)Triton X-100単独、(6)1.5MKCI単独、(7)凍結・解凍の繰り返しと3M NaClの方法を比較した。その結果、(1)の方法によって細胞成分を完全に除くことができ、しかも毒性がある化合物を除去できたため、(1)を本マトリックス足場材料の作製に用いた。次に、間葉系幹細胞、線維芽細胞と関節軟骨細胞をそれぞれ鋳型の乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)メッシュで5~6日間培養した。細胞はPLGAメッシュに接着して増殖、ECMを分泌し、細胞とマトリックスとメッシュの複合体が形成された。この複合体を(1)の方法により脱細胞化し、さらに0.5MNa_3PO_4水溶液で処理することにより、鋳型として用いたPLGAニットメッシュを選択的に除去した。処理後のサンプルを凍結乾燥し、間葉系幹細胞、線維芽細胞、関節軟骨細胞由来のマトリックス足場材料を得た。本マトリックス足場材料は、鋳型のPLGAメッシュと類似した多孔質構造をもち、マトリックスのマイクロファイバーとナノファイバーを有した。マトリックス足場材料の主要成分を免疫染色で調べた結果、作製したマトリックス足場材料の組成は細胞の種類によって異なることが分かった。このように、培養細胞に由来するマトリックス足場材料の作製方法を確立したので、各種細胞由来のマトリックス足場材料の作製にも応用可能と考えられる。患者自身の細胞を利用すれば、自家細胞由来マトリックス足場材料の作製も可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞を用いてマトリックス足場材料を作製する方法を確立し、その作製条件を最適化した。また、三種類の細胞を用いて本足場材料作製法の有効性を確認した。さらに、作製したマトリックス足場材料の組成と構造を明らかにした。以上のように、計画通りの成果はあげられたと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に最適化した作製方法で、動物実験モデルとしてマウスを用いて、マウス自家細胞由来のECM足場材料を作製する。マウスの背中皮下の移植実験より、自家細胞由来のECM足場材料の生体親和性を評価する。
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