研究課題/領域番号 |
24300184
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
石原 康利 明治大学, 理工学部, 教授 (00377219)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医用システム / 画像診断システム / magnetic particle / nanoparticle / MPI / molecular imaging |
研究概要 |
体外から投与した磁性ナノ粒子をトレーサとして利用し、がんや循環器疾患の早期診断を目指した分子イメージング技術『magnetic particle imaging(MPI)』が提案されている。しかし、従来の方法では、磁性ナノ粒子から生じる磁化信号を限局して収集するために形成する“磁場がほぼゼロの領域(field free point (FFP))”以外からも磁化信号が検出されることに起因して、再構成画像に画像ボケや偽像が発生していた。本研究では、ハードウェア性能の増強に頼ることなく、MPIにおける画質改善を目的としている。 平成24年度までに、システム関数(空間的に配置された磁性ナノ粒子から生じる磁化信号によって定義された伝達関数)と観測信号との相関情報に基づいて未知の磁性ナノ粒子の分布を反復的に画像再構成する方法を提案し、数値解析により画像分解能を従来法に比べて約3倍改善できることを示した。平成25年度は、提案法の有用性を実験的に明らかにするためのプロトタイプシステム(傾斜磁場強度:1.65 T/m、交番磁場周波数:122 Hz、z軸方向:オフセット磁場走査、x軸方向:制御台を用いた機械式走査)を構築し、フェルカルボトラン分画ファントム(円筒、内径:23 mm、高さ:4 mm)の2次元画像データ(撮像領域:30×30 mm、マトリクスサイズ:21×21)の収集を試みた。その結果、数値解析結果と同程度の画像分解能が得られるとともに、従来法と比較して平均二乗誤差による指標において約10倍の画質向上が確認された。 上記の基礎検討に基づき、z軸、x軸ともにオフセット磁場によるFFP走査を可能とするFFP形成ユニットの設計、および、開発を終えたため、平成26年度には、2次元オフセット磁場走査による画像データを収集・評価し、提案法の有用性を確認するとともに画像再構成法の改善を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機器・設備を当初の計画通り導入し、従来の画像再構成法に比べて画像分解能の改善、ならびに、画質の向上が達成されることを実験的に確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度までに構築したシステムを用いて、実際的な条件下での2次元画像データの収集を試みる。これにより、システム上の問題点を明らかにするとともに、画質改善が期待される新たな画像再構成法を提案する。ただし、磁性ナノ粒子からアクティブに検出された磁化信号に基づいて空間的な磁化特性を推定することが画質にどの程度影響を及ぼすかは現時点で評価が不十分であり、画像再構成法として追及すべきかを早急に判断する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、ほぼ当初予算通りの執行が行えたが、FFP形成ユニット(磁場発生コイル)のディスカウント交渉の結果、約7,000円の繰り越しが生じた。 平成26年度に、FFP形成ユニット(磁場発生コイル)を冷却するためのチラーを導入するが、平成25年度に生じた繰り越しについてはその付属品の購入を予定している。
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