研究概要 |
薬物療法だけでは咳嗽のコントロールが難しいことが近年ますます明らかになってきた。そこで本年度我々は、全く斬新な咳嗽を抑制する理学療法の発見に至った。それは音叉を使った外表からの振動刺激である。健常者非喫煙男子においてC字音叉で①コントロール(C)②頸部気管振動刺激 (TS)③胸壁振動刺激 (CS)④大腿振動刺激 (FS)への振動刺激が咳反射及び呼吸困難に及ぼす影響について検討した。咳嗽はクエン酸溶液(0.7, 1.4~45, 90g/L,生理食塩水倍加希釈)を超音波ネブライザーで吸入(1分間)させ、①咳の回数(回/分)と②咳衝動(修正ボルグスケール 0:全く咳 をしなくていい~10:最大限咳をしたい)を測定した。また同様に呼吸困難を吸気抵抗装置(0,10,20,30cmH2O/L/s)を介して安静呼吸(1分間)にての呼吸困難を修正ボルグスケール(0~10 0:全然きつくない~10:最大限きつい)にて評価した。すると頸部気管振動刺激は咳反射閾値も咳衝動閾値どちらも上昇させることがわかった。しかし頸部気管振動刺激は呼吸困難には影響を与えなかった。一方、胸壁振動刺激は咳反射閾値は上昇させるものの咳衝動には軽微な影響しかなかったが、呼吸困難は有意に改善した。以上の結果から、音叉などを使った1000Hz程度の微弱な頸部気管への外からの刺激が咳嗽をコントロールするのに有効であることがわかったのである。
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