研究課題/領域番号 |
24300189
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 敏明 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (50227790)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Sarcopenia / Anti-aging / Muscle hypertrophy / Kaatsu training / rat skeletal muscle / 高齢者 / 筋酸素分圧 / 筋蛋白合成 |
研究概要 |
高齢者17名を対象とし、負荷として弾性バンドを用いて検討した。高齢者を加圧群と対照群に分け、加圧群は上肢の肘伸展と肘屈曲を週2回、12週間行った。血流制限には空圧式ベルトを用い上肢基部に圧を加えた。トレーニング前後に上腕二頭筋および上腕三頭筋の筋断面積(CSA、MRI法)、1RM、血流依存性血管拡張検査(FMD)、脈派伝播速度(CAVI)、足関節上腕血圧比(ABI)、血中FDP, D-Dを前後で測定した。上腕二頭筋および上腕三頭筋CSAは、加圧群では有意に増加したが、加圧なしのトレーニングでは変化しなかった。また、2種目の1RMは、加圧群では、有意に増加したが、対照群では変化がなかった。一方、FMD、CAVI、ABI、FDP, D-Dは、トレーニング前後で有意な変化は認めなかった。以上より、加圧トレーニングは、負荷として弾性バンドを用いた場合でも、トレーニングマシンと同様に安全性を確保したままで十分な筋肥大効果が観察できることを確認した。 さらに、ラット加圧モデルを作成して、筋酸素分圧レベルを指標とした加圧運動時の肥大因子活性,および、その関連性を検討した。ラットの大腿部のカフ装着によって,異なるレベルの血流制限を加え,同時に前脛骨筋に低強度の電気刺激による等尺性収縮を負荷した。このとき酸素分圧動態および発揮張力を評価し、また,同様のプロトコールを実施したラットの筋を摘出し,肥大因子の活性化応答を運動3時間後に調べた。酸素分圧値の低下が大きい条件下での運動は,mTORシグナル系であるS6の活性化応答を亢進することが示された.以上より、加圧負荷による酸素分圧の低下が大きい条件下での運動は,低強度刺激であっても,mTORシグナル系の活性を亢進させることが明らかにされた。また、上記を元に、ラットに対して3週間(週3回)の慢性実験を実施し、加圧を実施した脚では顕著な筋肥大を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者において加圧トレーニングは、安全に筋力増強、筋肥大をきたすことが証明された。さらに、ラット加圧モデルを確立して、酸素分圧値の低下が大きい条件下での運動は,mTORシグナル系が亢進されるとともに、ラットに対して3週間(週3回)の慢性トレーニング実験を実施すると、加圧を実施した脚では顕著な筋肥大を確認された。
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今後の研究の推進方策 |
高齢者サルコぺニアへの応用 高齢者の下肢の加圧トレーニングの効果を弾性バンドにより検討するとともに、ラット加圧モデル、とくに、ラット後肢懸垂による廃用性筋萎縮に対する電気刺激による血流制限下トレーニングの有用性を検証する。
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