研究課題/領域番号 |
24300190
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30161714)
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研究分担者 |
粟生 修司 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 教授 (40150908)
長谷川 克也 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 開発員 (30425780)
KA 井上 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90302877)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | X線ムービー / パーキンソン病 / 動物モデル / 歩行障害 / 姿勢制御 / 躍度 / 加加速度 / 重力 |
研究概要 |
高速X線3 Dイメージング装置を開発し、パーキンソン病ラットモデルについて、運動中枢である大脳基底核の神経活性状態をイメージングにより可視化する。平成24年度および25年度で、高精細マイクロ焦点X線ムービーシステムの製作に初めて成功し、米国重力物理生物学会等で発表した(Kumei et al.,2012, 2013)。パーキンソン病の代表的特長である歩行障害と姿勢制御異常について、マウスモデルを使用して、X線ムービー画像を撮影した。同X線ムービー動画像を20ミリ秒毎のビットマップX線静止画像に変換して時系列で連続解析を行い、さらに従来にはなかった物理指標の導入による斬新なアプローチによって、動物の歩行、姿勢制御について詳細な運動力学的解析を行うことに初めて成功した。その結果、従来の「重力加速度』ではなく、「躍度」または「加加速度」という概念が、極めて重要な意味をもつことを実験的に証明し、同内容を論文として国際雑誌で発表した(Hasegawa et al. Life 4;174-188, 2014)。さらに同X線ムービーを用いた解析により、パーキンソン病マウスでは、頭部、体幹部、尾部の骨格構成のリバランスが重要な意味をもつことがわかり、現在、詳細を解析中である。またこれらと並行して、脳内の運動中枢を非侵襲的に観察する方法として、当初はLED照明によって神経細胞のミトコンドリア酸化還元状態を可視化するという方向で作業をすすめていたが、脳内深部到達度が予想の精度が得られないため、現時点では、back upとして、近赤外光によるヘモグロビン酸素結合状態のリアルタイム可視化による中枢神経活動の非侵襲的観察を行う方式も視野に入れた検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の本来の目的である、パーキンソン病などで特徴的に見られる歩行異常や、呼吸異常、姿勢制御の異常などを、今回開発した高精細マイクロ焦点X線ムービーによって詳細に解析し、動物の骨格、関節の広がり具合、姿勢バランスの異常などを、躍度という新しい物理指標によって原因分析することに世界で初めて成功した。今後は、この躍度をパラメータとする解析をさらにすすめ、パーキンソン病の早期に出現する異常を鋭敏に検出し、効果的なリハビリテーションに役立てることを視野に入れた研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
パーキンソン病の四大徴候(歩行・運動障害、寡動、筋固縮、安静時振戦)や、自律神経障害、高次脳機能障害、口腔機能障害などの症状の進行に関する情報と、神経変性に関する分子情報をもとに、新しいパーキンソン病リハビリテーションの次世代モデルの基盤を構築する。 1) パーキンソン病の症状と運動中枢における神経活動状態のリアルタイム可視化 2) パーキンソン病モデル動物(ラットまたはマウス)の効果的リハビリテーションへの展開
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