筋損傷に対する理学療法による回復促進効果を検証した。H25年度に小動物用足関節運動装置で作製した損傷モデルを用いて組織学的,生理学的に明らかになった,回復促進効果のある超音波刺激と伸長刺激の条件を中心に,そのメカニズムの一端を明らかにっするための生化学的検証を行った.超音波刺激は,周波数3.0MHz,強度0.5 W/cm2,照射時間率50%,照射様式はパルス波を 10分間行った.伸長刺激は3mN・m、15分間周期的な繰り返し伸張刺激(5秒間伸張刺激、5秒間負荷のない状態)を行った. 筋衛星細胞の活性の指標であるMyoD量とmyogenin量に対する回復促進効果のあった超音波刺激の影響を調べたところ,筋損傷12-120時間後のすべて時期の超音波刺激群のMyoD量は超音波非刺激群に対して大きかった.この中で筋損傷12時間後と24時間後において超音波刺激群のMyoD量は,超音波非刺激群に対して有意に大きかった.また,筋損傷から12-120時間後のすべて時期の超音波刺激群のmyogenin量は超音波非刺激群に対して大きかった.この中で筋損傷12時間後において超音波刺激群のmyogenin量は,超音波非刺激群に対して有意に大きかった.回復促進効果のあった伸長刺激におけるMyoD量に関しては,非伸長刺激群との間に有意な違いは認められなかったが.しかし,myogenin量に関しては,超音波刺激とほぼ同様の結果が得られた. 以上の結果より,損傷早期の筋に対して,超音波や軽い伸張刺激の様な機械刺激を与えると,損傷早期におこる筋衛星細胞の活性化を促進させ,損傷からの回復を促進させることが明らかになった.
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