研究課題
基盤研究(B)
本研究代表者らは、従来の脳刺激法併用リハビリから発想を転換し、脳卒中患者のADLを阻害する屈曲拘縮に着目して、患側一次運動野(M1)への5Hz反復TMSと患側伸展筋群の反復運動を組み合わせ(ハイブリッド・リハビリ)、患側M1の特定の運動機能(手首関節の伸展)を選択的に改善する手法を考案した(Koganemaru, Mima et al., Brain 2010)。本研究計画は、この研究を発展させ、MRIと脳磁図という2種類の非侵襲的脳機能イメージング手法で運動機能改善に至る脳内機構を解明し、脳可塑性が(1)患側M1局所で生じているのか、(2)患側M1を含む脳内ネットワークの変化としても生じているのか、という問題を解決するものである。脳卒中患者11名(年齢は21-80歳、脳卒中患者は初回の皮質下の脳梗塞、脳出血患者で、画像所見等により脳卒中診断が確立され、発症後6ヶ月以上を経過したもの)を対象として、検査の開始前に、脳卒中後遺症の重症度については、リハビリテーション科医又は理学療法士又は神経内科医が評価した。介入には、Magstim Super Rapid(Magstim)を用い、すでに報告した方法にしたがって、患側M1に5Hz反復経皮的磁気刺激と手首の反復伸展運動を組み合わせたハイブリッド・リハビリを15分間行った。介入前後で機能的MRIを用いて、手指伸展・屈曲運動に関わる脳領域を記録し、神経可塑性と機能回復により、活性化する脳領域の変化を検討した。3TのMRI(現有設備)と全脳型脳磁図(現有設備)を用いた脳機能検査は、介入前、6週間の介入直後、介入2週間後、介入3ヶ月後に行う。また、臨床評価としては、日常生活での運動機能について詳細に評価するとともに、運動訓練効率及び痙縮の指標として、手指と手首の関節可動域とmodified Ashworthスコアの測定を行った。実験結果については解析中である。
1: 当初の計画以上に進展している
順調に患者のリクルートができており、予備的解析では興味深い結果が得られつつある
平成25年度以降は、24年度の計画(データ収集と個々人のレベルでの予備的な解析)を継続して行うものとする。
ADLおよび脳可塑性への長期効果を見る目的で各個人での3ヶ月のフォローを行うため、実験期間としては最低2カ年を想定している。そのために、継続的研究遂行の理由で基金分を繰り越ししている
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件)
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