研究課題/領域番号 |
24300196
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
尾上 浩隆 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, グループディレクター (80214196)
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研究分担者 |
林 拓也 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, ユニットリーダー (50372115)
山中 創 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 特別研究員 (10415573)
小島 俊男 豊橋技術科学大学, 体育・保健センター, 教授 (00311340)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 拡散テンソル画像 / PET / 側坐核 / 精密把持 / マカクサル / セロトニン |
研究概要 |
本研究課題では、マカクサルの脊髄損傷後の機能回復過程における側坐核の役割について検証し、その神経・分子機構を明らかにするために、脊髄損傷後の回復過程に対する影響を拡散テンソル画像(DTI)およびPET分子イメージングにより解析し、損傷後の回復過程における脳局所の神経繊維連絡の変化やドーパミン、セロトニン神経伝達の変化を明らかにする。また、イメージングにより同定された特定領域における遺伝子発現変化をDNAマイクロアレーにより解析し、可塑的変化に関わる分子を同定する。さらに、側坐核へ直接の電気刺激や薬物注入を行うことで、手の巧緻運動の機能回復に対する側坐核の影響を明らかにし、イメージングに基づいた新しいニューロリハビリテンション法を創生することを目的にしている。 平成25年度は、脊髄損傷前後の脳局所の神経繊維連絡の変化を拡散テンソル画像(DTI)で測定し、また、アカゲザル(macaca mulatta)の側坐核におけるセロトニン神経伝達の変化を、セロトニン1B受容体のアンタゴニストである[11]C-標識AZ10419369を用いて調べた。機能回復過程における側坐核の活性化の意味について明らかにするために、脊髄損傷前および脊髄損傷後の回復期の初期、回復期においてムシモールの投与を行い、手の巧緻運動への影響を検討した。 2頭のサルについて、脊髄損傷前に十分な「精密把握課題」のトレーニングを行った後に、頚髄の一部を切断前後および回復期に拡散テンソル画像(DTI)の撮像を行った。データに関しては現在解析中である。セロトニン1B受容体のアンタゴニストである[11]C-標識AZ10419369のケタミンによる影響を調べたところ、ケタミンがAMPA受容体を介して、側坐核のセロトニン1B受容体結合を増加させることが明らかになった。また、脊髄損傷後の回復期の初期において側坐核にムシモールを投与すると、回復中の手の巧緻運動へ影響することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画のうち、「イメージングにより同定された特定領域における遺伝子発現変化をDNAマイクロアレーにより解析し、可塑的変化に関わる分子を同定する」の部分において、イメージングが完了していないことから、サルの脳よりサンプリングがなされておらず、実験ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究の方向性はこれまでと同じであるが、貴重なモデル動物より多くのデータをとるために、DNAマイクロアレーの実験は行わず、動物を生かしたままイメージング実験を優先させる。また、側坐核のセロトニン1B受容体とうつ病との関連が明らかになったことから、shRNAによるセロトニン1B受容体のノックダウンによる影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
脊髄損傷モデルのサルの回復が予定よりも遅い個体などあり、実験がやや遅れているために、主にサルの購入個体数が少なかったため。 本年度、新たにウィルスベクターによるノックダウンの実験を加えたことから、このための実験の費用に使用する。
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