研究課題/領域番号 |
24300201
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣川 俊二 九州大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (80150374)
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研究分担者 |
木口 量夫 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90269548)
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人工膝関節 / 深屈曲 / in vivo 実験 / 関節シミュレータ / 能動屈伸 / リスク分析 / QOL評価 / 動作解析 |
研究概要 |
シミュレータの完成 本研究で開発する関節シミュレータの特徴は,1) 深屈曲動作を評価対象に含めていること,2) 生理的な関節運動を再現するため,自身の筋力で操作する駆動方式を用いていること,3) 股関節と膝関節が連動する機構を採用していること,の3点である.本シミュレータでは,上記の3大特徴を具現化すべく,その具体的構造として,プーリー配置とワイヤー掛けを工夫し,股関節と膝関節に働く一関節筋と二関節筋で両関節を連動的に駆動する方式を採用している.また,膝屈曲角130°でハムストリングス用のワイヤー長が最短となり,上体重量で膝が完全深屈曲するように駆動機構や制御方式を工夫している.前年度は,部品設計までを終了し,直ちに製作発注したが,備品調達(モーター)とその駆動方式に変更が生じたため,当初予定していたモータ駆動方式を手動方式に代え,シミュレータ本体(フレーム)の製作と基本動作確認に専念したが,本年度(平成25年度)は本体にパルスモータを取付け,駆動方式を完成させた.シミュレータ本体は完全倒立振子系となるため,その姿勢制御のためのカウンターバランスの追加を行った.また,深屈曲状態の再現のため下腿リンクを強制的に大腿リンクに押し付ける操作方式を組み込み,靭帯類は弾性バネで代用した.膝蓋骨は現用のボタン型人工膝蓋骨で代用した.制御系は過去に開発済みの股関節シミュレータで用いた協調制御方式を踏襲した.年度後半ではセンサー類を取付け,種々の膝屈伸動作を対象としたデーター収集を行った. 現用人工膝関節患者の和式生活でのQOL調査・評価 現有の三次元動作計測装置を和式生活計測用に専用化すべく,浴室,トイレ,居間などの和式生活固有の動作を再現中の人工膝関節患者のキネマテックスデータや力学データを収集した.また,各種坐位動作(正座,蹲踞,長坐位靴下履き等)での下肢関節のキネマテックスデータも収集・解析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初からの計画であった下肢筋の代用ワイヤーをモータで牽引して膝運動を再現するシミュレータを完成し,一部データを収集できるまでに至った点は充分評価できると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた通りに装置システムを完成し,動作確認を行った後,一部データを収集するまでに至っており,今後は以下に示すようなプロトコルに従って,当該動作中における人工膝関節のキネマテックスとキネテックスに関するデータを収集する予定である. 1)基本的膝屈伸運動(膝伸展⇔膝深屈曲動作,準静的運動),2)健常者の日常生活動作を模擬 (歩行,座位動作,動的運動,in vivoデータとの比較),3)膝疾患患者の日常生活動作を模擬,4)各種人工膝関節での比較
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次年度の研究費の使用計画 |
シミュレータ本体の完成が遅れたため,当初購入を予定していたセンサー類の購入を一時保留したことによる. 購入基本計画は変更しておらず,シミュレータ本体の完成に併せて各種センサー類の購入を翌年度にスライドしたことが主な理由である. 理由欄で述べたように,次年度にスライドした各種センサーの購入と運転調整費を主体に,当初の予定通りの使用を計画している.
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