研究課題/領域番号 |
24300207
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
吉武 康栄 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (70318822)
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研究分担者 |
宮本 直和 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (20420408)
福永 哲夫 鹿屋体育大学, 学長, 学長 (40065222)
金久 博昭 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50161188)
高井 洋平 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 講師 (20574205)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超音波 / エラストグラフィ / 剪断率 / 筋硬度 / 羽状角 / 新鮮遺体 / 皮膚 / 筋膜 |
研究実績の概要 |
エラストグラフィは,剪断波を対象物質に投射し,その剪断波の伝達速度により物質の硬度(剪断率)を算出する.算出する伝達速度のベクトルは,探触子に対し平行である.したがって,筋線維が腱に対し角度を持って付着している羽状筋や,平行筋(紡錘状筋)であったとしても,形状的に皮膚表面に対し角度が存在する場合は,探触子と筋線維の走行方向に対し角度が生じる.このような測定状況下では,筋線維の長軸方向の剪断率を測定していないことになる.筋間(羽状角が違う)での比較,トレーニング(羽状角が増加)や加齢(羽状角が低下)に対する適応などを明らかにする場合,エラストグラフィは測定適応外になってしまう.そのため,本年度は,剪断波超音波エラストグラフィのヒト骨格筋に対する更なる測定適応を目指し,骨格筋の多くを占める羽状筋測定の妥当性を検証することを目的とした.つまり,外因的に,探触子と筋線維の走行方向の角度の有無を生成し,その角度の存在の有無がエラストグラフィによる剪断率評価に違いを生じさせるか検証した.その結果,角度の有無によって剪断率の値は変化しないことが明らかとなった.本研究の結果より,今後,あらゆる筋の硬度評価に剪断波超音波エラストグラフィが適応出来るといえる. さらに,新鮮遺体を対象に,皮膚および筋膜の存在が,骨格筋の筋硬度(剪断率)の保持に貢献しているかどうか検証した.5体のご遺体の腓腹筋内側頭を対象に,外科的に皮膚そして筋膜の順番で除去を行ない,エラストグラフィーによる剪断率の測定を行なった.その結果,皮膚除去によって有意に剪断率が低下したが,筋膜除去後は変化しなかった.骨格筋の形状を保つために,筋そのものの機械的特性に加え,皮膚の存在が貢献していることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に沿い,概ね計画通りに進行している.
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今後の研究の推進方策 |
羽状角(探触子と筋線維の走行方法の成す角度)の存在が,超音波剪断波エラストグラフィで得られた骨格筋剪断率の値に及ぼす影響は,ほぼ存在しないことが明らかとなった.しかしながら,これはあくまでも角度が20度以内,筋は安静時に限られた条件である.今後は,筋収縮中,かつ,羽状角が20度以上の条件下における測定の妥当性について検証を行う必要がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始2年目に,研究員の雇用について募集をかけたが,該当者がおらず,3年目から雇用を開始することになった.そのため,人件費において当初の計画通りに使用が出来なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度,継続して研究員を雇用することになり,全て人件費として用いる.
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