| 研究課題/領域番号 |
24300211
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| 研究機関 | 日本体育大学 |
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研究代表者 |
関根 正美 日本体育大学, 体育学部, 教授 (50294393)
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| 研究分担者 |
畑 孝幸 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00156332)
深澤 浩洋 筑波大学, 体育系, 准教授 (50313432)
石垣 健二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20331530)
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| 研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | 身体教育学 / スポーツ思想 / 哲学的人間学 |
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| 研究概要 |
本研究は現代社会や文化状況にみられる抗争や葛藤に対し、スポーツや身体教育から何ができるかとの問題意識から出発し、他者との共感や人間的連帯といった価値がスポーツを通じてどのように生み出されさらにまた、現代スポーツを通じて実現されるかとの点について検討し、身体教育の原理を明らかにすることを目的とした思想的研究である。2年目の２５年度は、「他者理解」および「人間的連帯」を通じたコミュニケーションが生み出す人間的価値の具体像を生み出すことに研究の主眼が置かれた。実績としては、国際学会での成果発表を２件（アメリカ）、国内学会での成果発表を２件行った。他者理解については、石垣（分担者）による成果から、体育やスポーツにおける自己と他者の「かかわり」は，単なる「間主観性としてのかかわり」であるだけでなく、「間身体性としてのかかわり」としてもとらえることが可能である点が明らかになった。身体教育の現場における他者理解を実現する原理論構築の重要な概念として「間身体性」が明らかになった。他者理解と人間的連帯の両方に関わる実績としてはHata（分担者）,Sekine（代表者）の成果から、競技スポーツにおける競技者間の連帯は、達成による内面的充実を通した他者理解が一つの契機となることが示された、人間的連帯については、Fukasawa（分担者）の成果から、スポーツにおける連帯の一つの例として、オリンピズムの普及、オリンピック教育へのアプローチを行った。カントの公共に対する考え方（理性の公的使用）にその可能性を求め、「公共（性）」の視点からオリンピックレガシーが再検討された。また、関根（代表者）によって、競技スポーツの集団における人間的連帯はいかにして可能であるのかが示された。競技スポーツ集団における人間的連帯については、ハンス・レンクの「民主的トレーニング」についての思想が参照された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内学会での成果公表が２件、国際学会での成果公表が２件であり、当初の計画にそった成果の公表ができた。この４件の成果発表によって、今年度の目的課題であった「他者理解」および「人間的連帯」を通じたコミュニケーションが生み出す人間的価値の具体像について、ある程度明らかにできた。また、カールスルーエ大学のレンク博士を代表者（関根）と分担者（畑）が訪問し、スポーツを通じた人間的連帯について、具体的にはオリンピックの人間的価値と政治的状況に関するレビューを行うことができた。しかしながら、これまでの研究成果を総括するならば、代表者および分担者によってなされる個々の研究は順調に進展しているものの、各研究の連携が当初の予想よりも薄いと思われる。また、研究課題全体の体系化という点から見ても、やや物足りなさは残る。この理由は、各研究者が予想以上に多忙を強いられ、研究グループ内での研究打ち合わせの機会をあまりとれなかったことによる。この点は、研究経費を２６年度にくり越すことになった原因でもある。とはいえ、個々の具体的な研究そのものは順調に進展していることから、「おおむね順調に進展している」との自己評価にした。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究課題の基礎理論については、「他者との共感」「人間的連帯」ともにおおむね検討がなされた。今後の課題としては、これまで明らかにしてきた他者理解と人間的連帯の条件や原理に照らして現状批判を行っていく。具体的には身体教育の現場である体育ならびに現代スポーツの批判的検討を行う。
４月～９月にかけては、「スポーツは他者との共感や人間的連帯を生み出す媒体になり得るか」をテーマにして、スポーツの批判的検討を行う。人間にとって価値のある生き方像を、特にこの時期は「他者との共感」に焦点を絞って様々なレベルのスポーツ実践の観察、考察から見いだしていく。この際、必要に応じて現象学や実存哲学並びに社会哲学の文献に当たるなどして、いかにスポーツから他者との共感が生み出される可能性があるかを探求する。解釈については各研究者が行うが、解釈の妥当性などについては随時グループ内で打ち合わせを行う。
１０月～１２月にかけて、前半期と同様に研究を遂行するが、この時期は特に、「人間的連帯」に焦点を絞り、様々なレベルのスポーツ実践について観察ならびに考察を進める。具体的にはトップレベルの競技スポーツ、学校教育などでの教育現象としてのスポーツを予定している。また、オリンピックについては映像や文献を駆使しながら研究を進める。期間全体を通して現象の観察と文献による解釈を繰り返すことになる。
２６年度の成果公表としては、２５年度の成果も含む形で、国際学会で２件、国内学会で２件の発表を予定している。国際学会はブラジルで行われ、成果公表のための海外出張をグループ内で予定している。
３月には今年度の結果をとりまとめる。とりまとめに当たっては、グループ内で議論を行う。
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| 次年度の研究費の使用計画 |
研究グループ内での打ち合わせが十分できなかった（一部の国内旅費、打ち合わせに使う物品費が未使用）。投稿料を有する学会誌への論文掲載ができなかった（その他の費目が未使用）。研究補助の雇用を行わなかった（人件費の未使用）。
研究グループ内での打ち合わせを行う（国内旅費と物品費を使用。国内旅費は、分担者３名の東京までの旅費として使用予定。物品費は主に消耗品費として使用予定）。学会誌への投稿料として使用予定（その他の費目）。研究補助を積極的に雇用する（人件費）。
また、次年度は文献解釈の計画を含んでいるので、書籍の購入および文献複写が必要になる（物品費として使用予定）。
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