研究課題
基盤研究(B)
身体運動時の力学的変量を記述するうえで、体分節の質量、重心位置および慣性モーメントなどの体分節パラメーターは重要な変量であるにかかわらず、それらは屍体やモデリング法などから得られた値が用いられてきた。その背景には体分節体積や密度を推定することが煩雑で手間のかかることが挙げられる。本研究の目的は、被験者に非接触で人体計測を短時間に計測することが可能な三次元人体形状装置を用いて体分節体積を算出し、かつMRI法により筋、骨、脂肪組織などの分布を定量化して体分節密度を推定することにより、一般成人及び子どもや競技者について体分節パラメーターを推定することであった。さらにこの推定値を無作為抽出した集団にあてはめ、その妥当性を検討することと、歩行や走行動作での力学的変量に関して従来法と比較検討することにより、体分節パラメーターに関する日本人モデルの構築を試みようとした。三次元人体計測の全身スキャンから各体分節を解剖学的基準に基づいて分離し、それぞれについての体積や体積中心を得ることが可能となった。同時に同被験者についてMRI法による全身スキャンから体分節を分離し、その中の組織(筋、骨、脂肪)分布をそれぞれの断面積を計測することにより定量化した。BLSから得られた三次元の空間座標内にMRIから求めた組織分布を配置して、体分節質量の再構築を行った後重心点を求め、先ず重心を通過する慣性主軸三軸を決定し、それぞれの軸周りの慣性モーメントを算出を試みた。またそのようなことを可能にするためには、人体に添付したランドマークから自動的に測定部位が同定でき、その部位での長軸に直交する面での周径囲や横断面積あるいは、解剖学的切断面に沿った体分節の分割とそれぞれの体分節体積の計測などが可能となるようにソフトウエアが必要となり、新規開発を試みた。
2: おおむね順調に進展している
一般成人について光学式三次元人体形状側手装置による人体計測値およびMRI法による体分節組織分布の正確性と妥当性を検討し、両者を統合したデータから体分節質量や慣性モーメントなどを算出する方法論がほぼ確立できた。
組織分布データを三次元体積データに挿入することにより再構築し、体分節質量や質量分布、質量中心及び慣性主軸を決定後に3軸に関する慣性モーメントを算出する。これらのデータから四肢の相対長を基準に体分節パラメーター算出のための推定式を作成する。その推定式の妥当性と汎用性を別の母集団無作為抽出サンプルに関して検証する。さらに同手法によって求められる体分節パラメーターの小学生児童を対象とした発育発達による変化およびアスリートを対象としたトレーニングによる変化について、歩・走動作中の動作分析から違いを検討する。
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Proceedings of the Asian Workshop on the 3D Body Scanning Technologies
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