研究課題
骨格筋の機能を評価する上で、筋の「硬さ」(スティフネス)は重要な要素となる。筋スティフネスは活動時筋スティフネス(Active stiffness; AS)と安静時筋スティフネス(Passive stiffness; PS)に分けられる。本研究では、超音波剪断波エラストグラフィーを用いることにより、ヒト生体内におけるASとPSをさまざまな条件下で測定し、動物実験と合わせて、それらの分子的機構にアプローチすることを目的とする。本年度は以下のような成果を得た。(1)動的収縮時のAS:上腕二頭筋を対象とし、等尺性、等張力性短縮、等張力性伸張の3条件での収縮におけるASを測定した。その結果、発揮筋力とASの比は、等尺性=短縮性<伸張性となり、伸張性収縮ではクロスブリッジ当たりの発揮張力が、他に比べて大きいことがわかった。このような強い分子的ストレスは、伸張性収縮による筋線維の微小損傷と関連すると考えられる。(2)筋疲労がASおよびPSに及ぼす効果:上腕二頭筋および大腿直筋を対象とし、30%MVCの負荷の動的反復運動を疲労困憊まで行ったところ、運動中のASが動作反復回数とともに上昇する被検者と低下する被検者が見られた。運動後のPSに関しても、運動前のPSに比べ、上昇する被検者と低下する被検者が見られ、協同筋間での活動交替や、筋線維組成の違いが影響すると考えられた。(3)筋疲労が協同筋のASに及ぼす効果:そこで、腓腹筋内側頭(MG)、腓腹筋外側頭(LG)、ヒラメ筋(SOL)の3者が協同筋としてはたらく足関節底屈を用い、疲労課題前後で0~60%MVCまでのランプ収縮を行った際のASと筋電図をそれぞれの筋で測定した。その結果、筋疲労とともにMGのASが上昇すると同時に、SOLのASが低下し、両筋の筋力への寄与率が変化することがわかった。この変化には、筋線維タイプの違いも関連すると思われる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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